アルコル第4号 2001年4月3日

急を告げる公務員制度改革

公務員制度の改革をめぐる動きが急です。昨年12月1日、省庁再編の直前に閣議決定された「行政改革大綱」では、「国家公務員、地方公務員制度の抜本的改革」が標榜され、「信賞必罰の人事制度の実現」が掲げられました。こうした動きの中、いわば存在意義を問われている形の人事院の側も黙っているわけではありません。内閣府と人事院のせめぎ合いは、さる3月27日には、橋本行革担当大臣の指揮の下、内閣官房が「公務員制度改革の大枠」を示した後、ただちに3月30日、人事院総裁の私的研究会「能力、実績等の評価・活用に関する研究会」の「新人事評価システム」に関する最終報告が発表される、という慌しさにも現われているように見えます。

この内閣府と人事院のせめぎ合いの中、検討のテンポはかなり速いものとなりそうで、内閣府の出した「公務員制度改革の大枠」では今年の6月に「基本設計を取りまとめる」ことになっています。また人事院の側は、「新人事評価システム」について「積極的に取り組んでいく」ようです。内閣府の進めるものであれ、人事院の進めるものであれ、ともかくこの「改革」で、従来の俸給制度は大きく変わることになります。いわばもっとも微温的なサイドの人事院が2月に示した「俸給体系の基本的見直しについて」という文書では、今後の俸給のあり方として

各級の基本額(固定)+「勤続加算」+「実績加算」

という形になります。そして「本省課長級」(=教授クラス)については、「勤続加算」はせず「顕著な勤務実績」について加算する。

なお話題の“棚ボタ”の公務員のスト権については、人事院の存在の根拠であることもあって、人事院の必死の抵抗があるようです。この抵抗の前に、内閣府の側は「労働基本権の制約の在り方との関係も十分検討する」と、トーンは下げたものの、依然として検討が続いているようです。

今回のアルコルでは、こうした公務員制度改革について、お二方からの寄稿をいただいています。


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