アルコル第5号 2001年5月15日

公務員制度改革、最近の動き

公務員制度の改革をめぐって、行政改革推進本部は、着々とその「信賞必罰の人事制度」の骨格を固めつつあるようです。新聞報道では、行政改革推進事務局は「職務遂行能力」に注目した制度を固めたとされます(毎日4.20)。これによると「職務」(=ポスト。主任・掛長・課長といった職階)ではなく、「職員資格制度」によって決められる「資格等級」で俸給が決まることになります。同じ「掛長」(職務)でも、「資格」(職務遂行能力)と連動して給与が大幅に違うこともありうるわけです。これまで、「昇格」=「上位職へのシフト」が重んじられてきましたが、給与の点ではあまり意味をなさなくなるわけです。

人事院の側は、3月に「新人事評価システム」報告を出しましたが、さらに4月に入って、今年度から人事院自らに対する「政策評価」を実施することを決定しました。この中で人事院は「政策目標」の中に「個人の能力・実績を的確に反映できる給与体系の整備」「職員の能力・実績を客観的に評価し得る新たな人事評価システムの整備」を掲げています。公務員の処遇に対する姿勢自体は、人事院は行革本部と大きく違いません。両者の最大の相違点は、行革本部が「主任大臣を頂点とする責任ある人事管理体制」(最近の外務省のゴタゴタを思い出していただければよいかもしれません)を掲げるのに対し、人事院が公務員の一体性を主張していることでしょう。行革本部の言う「責任ある人事管理体制」の下では、各府省での労使交渉次第で、待遇に省庁間格差が生まれ得ます。人事院はこの危惧を盾に、「スト権などを制約する必要があり」「人事院が必要だ」という論を展開しているようです。

公務員制度改革をめぐって、前号では、「組織に安住し職務を全うしない公務員」を念頭に「本来のあるべき姿を見つめ直す良い機会」とする意見、公務についての評価は「あんパンとジャムパンはどっちが美味いか決める」ようなもので「生計費原則を重視」するべきだとする意見を紹介しました。

今回は全大教(全国大学高専教職員組合)の中央執行委員会が、さる4月8日に発表した「『公務員制度改革の大枠』に対する見解」(「全大教」143号)を紹介しましょう。


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