入門化学実験の発足当時(2009年度後期のみ)は、 生物系の2回生向けの「基礎生物学実験」に倣って、6月に希望者を募って7月に説明会を実施、 くじ引きで履修者を決定という運びでした。 何人ぐらい希望者が出るか不安でしたが、 蓋を開けてみると 32人と、予定の 20人を大幅に上回り、まずまずの手ごたえ。 初回取りあえず集まり、テキストなど配布して顔合わせの後、 ぶっつけ本番の実験という段取りでした。
「最初の実験」と銘打って、どんなことをやってもらうのかはいろいろ悩みました。 中学校ですでに知っているような実験ということで、 ここに当初置いたのは「炎色反応」と「気体の分子量」の実験でした。 炎色反応は物質の各論・定性的実験を、分子量測定は物質の通性・定量的実験というノリだったのですが、 2018年度の後期から全面的に定性的な課題に転換。 気体の分子量の実験は、現行のホウ砂球反応に切り替えました。
ちょっと懐かしくもあるので、最初の実験課題の説明プリントを紹介しておきます。
図1. 電動アスピレーター |
背景の説明などはせず、「各自、自ら試みよ」という色彩濃厚。 取りあえず、最低限のことはできる器具を各机に配置しておいて、 各自で好きなように実験してもらうというという感じで、 試薬などは試薬瓶を置いておいて、好きなように取っていけということにしていました (無論、今のように白金線ではなくステンレス線を使用)。 ここでだいたい入門化学実験のスタイルを実感して、 後の実験に臨んでもらおうというわけです。
分光光度計や天秤、圧力計は、詳しいことを言いだすと厄介ですが、 直感的に操作可能なので、取りあえず触ってもらうことを重視しました。 またちょっと専門的ではあるけれど、 物理量や数値の取り扱いにも触れてもらえればというココロでした。
実験としては中学ででてくるようなよくあるものだし、 ワイワイ自分たちで考えてやってみて欲しいということだったんですが、 ついていけない学生もいて(特に「気体の分子量」)、 最近はどんどん「手取り足取り」路線になってきています。 でもやはり「化学クラブ」(”自学自習”)の空気はきちんと伝えたい。 そういう意味でこの進め方は大事にしておきたいと思っています、
なお「電動アスピレーター」は現在使用していませんが、 図1のような循環水型の水流アスピレーターです。 下部の水色の部分が水槽タンクになっています。 水槽に氷を入れて水温を下げると(氷を入れたポリ袋(氷嚢)でもよい)水蒸気圧が下がり、 うまくいけば到達圧力を 1 kPa 以下ぐらいまで下げることができます (実際にはそこまではいかない)。 このあたり”化学的”に興味深いと思うのですが、 あんまり学生さんには受けなかったです。 当時3回生の実験で使っていたのを、実験前に369号室まで運んで来るのですが、 6号館南棟5階と北棟3階との往復は結構大変だったんですがね・・・。