実験条件・操作等を記述する際、「常温」や「1滴」といった表現を用いるが、
それが実際に何°C、何mL なのかは必ずしも明白でない。
こうした抽象的・定性的な表現の“通念”について主に日本薬局方に従ってまとめておく。
なおこれらはあくまで“通念”であって、とり扱う対象、分野あるいは個人によってかなり幅があると心得るべきである。
- 【約】
- 定量に供する試料の採取において、記載された量の±10%の範囲をいう。
- 【直ちに】
- 前の操作の30秒以内に次の操作に移ること。
- 【滴】
- 0.05 mL程度。滴数を測るには、20 °Cで水 20滴を滴下するときその質量が 0.90~1.10 g となるような器具を用いる。
- 【溶液】
- 単に溶液と記載し特に溶媒名を示さないものは水溶液。
<温度に関わって>
- 【常温】
- 15~25 °C
- 【室温】
- 1~30 °C
- 【微温】
- 30~40 °C
- 【冷水】
- 10 °C以下
- 【温水(温湯)】
- 60~70 °C
- 【熱湯】
- 約100 °Cの水
- 【冷所】
- 1~15 °Cの場所
- 【水浴上(水浴中)加熱】
- 特に指定がなければ、沸騰している水浴を用いて加熱
- 【加熱した溶媒(溶液)】
- ほぼ沸点付近の温度まで熱したもの。
- 【加温した溶媒(溶液)】
- 60~70 °Cに熱したもの。
<秤量>
- 【精密にはかる】
- 0.1 mgまではかること。
- 【正確にはかる】
- 指示された数値の質量をそのケタ数まではかること。
<溶解度>
溶解性を示す用語は、溶質 1 g あるいは1 mLを溶かすのに必要な溶媒の量(20± 5 °Cで振り交ぜたとき 30分以内に溶ける度合い)を x とする時、次の例による:
表現 | 対応する溶解度 |
極めて溶けやすい | x < 1 mL |
溶けやすい | 1 mL ≤ x < 10 mL |
やや溶けやすい | 10 mL ≤ x < 30 mL |
やや溶けにくい | 30 mL ≤ x < 100 mL |
溶けにくい | 100 mL ≤ x < 1000 mL |
極めて溶けにくい | 1000 mL ≤ x < 10000 mL |
ほとんど溶けない | 10000 mL ≤ x |