いちょう No. 97-24 98.2.18.

昨年の「預け金問題」に端を発した、「経理事務の適正化」の波は、いろんな方面に打ち寄せてきています。今回のいちょうでは、この4月から全面的に実施される(厳正なくじ引きの結果、地球・地鉱では、1月から試験的に運用。いちょうNo.97-17参照) 物品の発注・納入手続きの変更について、少し詳しく紹介します。*

*なお実際に4月から実施されたときは、伝票が3枚つづりになるなど簡素化が図られた。)

発注、納入手続きはどう変わる?

地球・地鉱で現在、試験的に実施されていますが、この4月から、物品購入関係の手続きが、大きく変わります。 この改訂では、新たに4枚つづりの「発注請求書+発注・受領書」が登場します。 この4枚つづりの「発注請求書」の一件が、どのように動くのか、簡単な例をみてみます。 以下では、先端化学研究室の神波伊弥太(かみはいやだ)という助教授が、校費でワライ純薬社製の1級エタノール500 mlを1本、ナカケンという会社に注文する場合を考えます。

使用者から、教室事務、そして学部事務へ(発注まで)

神波さんは、まず教室主任(=物品供用官)の帯貞稲一教授の確認を得てから、4枚複写の発注請求書(最後の1枚は業者用の発注・受領書なっている)に、「先端化学研究室、内線1818神波伊弥太校費ナカケンワライ純薬社1級エタノール500 ml瓶1本、だいたい1000円するのを、先端化学研究室に納入してほしい」旨記入(下線部が必要情報)します。そしてそれを教室事務に持っていき、4枚複写の内の発注請求書研究室保管分(下のA票)に、発注請求書を受領した旨のハンコを押してもらい、それをもらって研究室に帰ります。

残り3枚を教室事務では、発注の出所と物件の規格をチェックして、学部の事務室に持っていきます。そして学部事務室で、3枚の内の発注請求書教室事務保管分に、受領のハンコを押してもらい、それを教室事務に持って帰ります。そして教室事務では、その発注請求書に基づいて、物品命令書、送付票などの作成を行います。学部事務では、持ち込まれた業者向けの発注・受領書(4枚つづりの最後の1枚。D票)を、業者ごとに仕分けします。そして週に1回(現在は月曜日)、予算を確認の上、業者に発注を行います。

ここまでの話で、よく理解しておかねばならないのは、一般の教職員には、物品を発注する権限が存在しないということです。このため、教室主任を通じて、発注権限を持つ経理掛長のところまでさかのぼらねばならないのです。

学部事務から、業者、そして使用者へ(物品の受取り)

ナカケンは、神波さんからの発注・受領書を学部事務から受け取ります。そしていよいよ納品です。ナカケンは、学部事務に、神波伊弥太さんから注文されたエタノールを1本持っていって、発注・受領書と照らし合わせて、確認のハンコをもらいます。そして今度は研究室まで行って、神波さんにエタノールをわたし、納品の日付を書いてもらい、確認のサインをもらいます。そして教室事務にいって、サインをもらった発注・受領書について「報告」して、教室事務は発注請求書との照合を行い、これで“納品”“検収”が終了します。この学部事務のハンコと神波さんのサインをもらった発注・受領書は、後でナカケンからの請求の時に必要になります。

さて、このように見てくると、いわゆる納品書は必要ないように思われるかもしれませんが、それも必要です。あくまでも、ここでの発注・受領書は、「注文を確かに承り、注文を果たしました」ということであり、納品書は、「品物をお納めしました」ということだからです。また、ここでは校費の場合を見たのですが、科研費の場合には、研究種目と課題番号と研究代表者名を書くことになり、この場合には教室主任ではなく、研究代表者の確認で行うことになります(教室事務からの提出先は、経理掛ではなく用度掛になる)。

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実際の運用

先ほどまでは、問題なく発注から納品まできた場合ですが、例外的な事態への備えも必要です。たとえば、受け取ったエタノールの瓶のふたが欠けていて返品したとします。この時、神波さんは、保管しておいた発注請求書のコピーを取り、そのコピーに赤い字で「不良品につき返品」と書いて、教室事務に持っていく。そして教室事務は、それを学部事務に持っていく。そしてナカケンは、返品されたエタノールの瓶を、学部事務に持っていって返品の確認をしてもらうという手順を踏みます。また急にものが必要になることもあります。そうした時には、直接、業者に注文することができる特例も認められています(ただし、「時間外で緊急に物品を必要とする場合」のみ)。

書類や手続きが増え、「事務簡素化」と逆行するように見えるかもしれませんが、今回導入されるのが合法的で“適正”なシステムのようです。そしてその枠の中で、今の地球・地鉱での試行も踏まえながら、合理化が模索されています(23日にも事務主任の会議がある模様。3月中旬にはほぼマニュアルが確定するとのこと)。たとえば金の出所によって、校費・受託研究は経理掛、科研費は用度掛、委任経理金は司計掛と、3つの掛にまたがっています(同じ業者に発注する時でも、金の出所ごとに「発注請求書」は作成)。そこで、業者への発注などを、共通の窓口で行うことが考えられています。ただし「検収」の手続きは、頭の痛い問題のようです。たとえば事務室は車の出口の方の道に面していますから、業者が自動車で物件を搬入する時、納品先の研究室の前を素通りして、事務室でチェックを受けた後、今出川通りに出て、また入構するといった事態が起きます。また工作機械など大きな物件などは、事務室に運び込むことはできませんから、直接、現場に出向いて検収することになります(近くでも面倒だが、離れたところにあるとかなり厄介)。

なおここで紹介した手続きの詳細については、4月から「情報技術室」ができることもあり、理学部のホームページなどを使っての広報なども行われる由です。


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