さる1月16日、民主党は「『新しい政府』を実現するために」という選挙公約を発表。昨年8月に発表した「政権政策(案)」で謳われていた「国立大学の民営化・公立化」を正式に党の方針として公にしました。こうした状況の中、国立大学関係の組合としては史上空前の20万余りの署名を手に、先月1月28日、全国の43の組合から101人の参加を得て、全大教(全国大学高専教職員組合)の中央行動が取り組まれました。この中央行動には、理学部から本部書記次長の入野さんと前書記長の藤村さんが参加されています。今回のいちょうには、藤村さんからこの中央行動の模様について一文をいただいています。
1月28日に全大教の「国立大学等の独立行政法人化反対」中央行動に参加してきました。午前中に意志統一集会、午後に政府・関係省庁への申し入れ、国会議員等への要請と懇談、そして総括集会という日程でした。
最初の集会では、執行部から現在の情勢として、(1)国立大学の独立行政法人化は、年内決着を予定していた文部省の思惑通りには進んでおらず、現在は膠着状態。(2)文部省は政府中枢との本格的な折衝に入れていない。(3)政府側も大学の位置付けに意思の相違があるらしいと報告がありました。また、これまでにも伝えられている通り、国大協の昨年の総会で、通則法の下での独法化反対は一致を確認しているが、それ以外は意見の広がりが大きく何も動けないでいるとのこと。全大教の執行部としては、「今日の状態に食い止めているのは、我々の運動の力として確認したい」とのことでしたが、「もともと行財政改革がらみの問題なので、情勢は急転直下ということもありえるので、いまは重要な節目のときにある」とのことでした。
今回の中央行動の目玉のひとつは、その日までに20万筆強を集めた署名の文部省への提出でした。しかし、文部省側は文部省前に人だかりを作るのは「示威行動」であり、そういう団体とは交渉の場を持たないと主張しているとのことで、激励行動は見送られました。集会には全国から100人を越える参加があって、そのことへの批判意見も出たのですが、執行部の答え方はもう少し違う答え方もあるのではとも思いました。
午後はまずは、政府(総理府)、中央省庁等改革推進本部、文部省、総務庁への申し入れ、また事前に約束のとれた民主党・公明党・共産党の衆参文教委員、それに日本共産党と新社会党への要請を10名程度ずつに別れて行いました。私は総理府に行ったのですが、出てきたのは名刺に肩書きのない年のいった方で、「大学を行政法人というのは、少し違うかなとは思うんですよ」などとこちらに合わせていましたが、そうやってあしらう門前係かなという印象でした。
そのあと議員会館に集まり、事前に約束の取れていない主に自民党の文教委員への要請行動をしました。ほとんどが秘書対応(ちなみに自民党の議員会館にいる秘書は政策秘書などではなく、受付嬢的役割の人)でしたが、飯島忠義(衆院神奈川4区・文教委員会理事)氏と直接話すことができました。この人は「科学技術創造立国」邁進で頭が一杯という感じで開口一番、「皆さんは、まるでなくなってしまうかのような心配をするが、文教予算は増えていて、文教族は頑張っているという評価を受けている。教育は国の柱だから無駄な公共事業を削ってでも金は回す」とのことでした。「そのために歯止めのない競争をすればうまくいくと思いますか?」と訊いたところ、「やっぱり問題があるかな?どう思いますか」とのことで、競争が行きつくだけ行きつけば少数が残るだけで、かえって柔軟性を失うということや、現状での国立大学間での格差を話したところ、「なるほど、いいことを聞いた」「そんなに格差があるのなら、誰でもクサっちゃうよ。知らなかった。」とのことでした。なお雇用についてはパートで働きたいというのも時代の要求で、流動化すべしとのことでした。基本姿勢で折り合えること折り合えないことはあるにせよ、それでも、粘り強く話をする余地はあるのではないかとは感じました。
なお民営化論の民主党は「ちゃんとした話し合いはこれからなの、何も話せない」とのことだったようです。またこの日、社民党とは約束が取れなかったとのことでしたが、新社会党に要請に行ったメンバーから、「それは受付のたまたまの対応で、土井さんだって言えば会うはず」で、「ウチに来るよりも」と言われたとのこと。うーん。