さる2月18日、人事院は調整手当の見直しの基準の考え方を、国家公務員関係の中央労働団体に示しました。その骨子は昨年示したものと変わっていません。
というわけです(ここにはないが前回92年の改定で泉佐野などを格下げして、東京だけは12%になっている)。この人事院のルールに従って、現在の賃金・生活指標を適用すると、全国的に見て経済の落ち込みの大きい近畿地区では、軒並み格下げになることが予想されます。昨年は、全国的な大きな署名運動などの中(理学部では丸山学部長にも署名いただきました)で、人事院はこの見直しを見送り、8月の人事院勧告には調整手当について
「地域別の給与配分の一層の適正化を図るため引き続き検討を進め、支給地域及び支給区分等の見直しについて成案を得ること」
といった記述に止めざるをえませんでした。今回はこの経験からか、人事院は調整手当の見直しについて人事院勧告という形を取らず、
「2月に見直し基準提示、4月上旬に地域指定提示、5月上旬に決定」
というスケジュールで、反対運動が本格化する前に決着を着けようとしています。
なお今回人事院の提示では、昨年の案に加え新たに
「現行10%支給地域は、3%あるいは非支給地域と判断される場合でも6%支給地域とする」
という特例を設けることを提案してきています。しかしこの特例が適用されても、京都では給与が現在の106/110、つまり3.6%減。家計に手痛い打撃となることに違いはありません(非常勤職員も常勤職員を基準に給与が設定されるので、同じだけの減となる)。
調整手当は、「勤務地手当」「暫定手当」など変更を重ねながら、67年から現行のように公務員賃金の地域間調整を行うための手当として定着したようです。というものの多くの矛盾を含んでいることは以前から指摘されているとおりです。たとえば京都市内に住んでいる人が、亀岡の職場に通ったら調整手当は0だが、亀岡の人が京都市内の職場に通えば調整手当が10%付きます。また民間の本社機能が集中する東京の賃金水準が高いのは当然です。でもだからといって、東大の給料が京大より高く設定されるのには、釈然としない思いを持つ人も多いことでしょう。さらに東京から地方に転勤した場合、3年間は12%の調整手当がそのまま付くというのも、解せない話です(これも東京から来た人が、地方に居つかない理由の一つ)。
こうした問題を解決していく方策を提示しないまま、東京に都合のよい従前のやり方を踏襲するのはうなづけません。今回の見直しで得た財源で、東京の手当をさらに上積みするなどということであれば、とんでもない話です。また調整手当は“手当”というよりは、“給与”として多くの人に認識されており、調整手当の減少は給与の切り下げであることを人事院は認識すべきです。特に今回近畿地区で見直しを実施すれば、昨年の人事院勧告(とその“完全実施”)で年間給与が減少した下(40歳の典型的な行政職員で年間約8万円の減)で、さらに給与の切り下げを行うことになります。不景気な時に不景気な話は、願い下げにしたいものです。