いちょう No. 95-12 95.12.7.

理学部長・事務長折衝について

12月5日(火)10:00~、理学部応接室で理学部長・事務長折衝が行われました。理学部支部からは、支部4役はじめ15人ぐらいが参加しました。最初に平田新支部長の紹介などあった後、具体的な折衝に入りました。

1.技官の専門行政職移行問題 ―――“当局は関知せず”

技官の専門行政職(専行職)移行についての折衝で明らかになったことは、この問題についての理学部当局の認識がきわめて低いことであった、といってよいでしょう。

将来計画委員会幹事会で議論 ―― 学部長

学部長は今月中に将来計画委員会の幹事会 で、技官問題を議論する予定であるとのことですが、その中心的な問題意識は、今後数年で予想される、技官の停年退職者の急増期 対策であって、専行職移行の問題ではなかったようです。今回の折衝で、学部長は幹事会で、専行職移行問題も取り上げることを約束されました。しかし、専行職移行にともなう諸問題(移行にともなって現在の技官組織はどうなるか、専行職に移行できない技官をどうするか、行Ⅱ技官はどうするか、そもそも研修制度など技術職員を育てていくしくみをどうするのか、などなど)の重要性・緊急性はわかっているとしながらも、技官問題を専門に扱う委員会の設置などについては、「年度内に何とかしたいが、安請け合いはできない。」ということでした。

専行職では事務サイドも白紙

事務サイドでも、ほとんど専行職移行については考えていないようです。事務長は、「技官は別組織になっているので直接ものを言う立場にないが、発言できる機会はあると思う。その時にはきちんと対 応したい。」ということですが、どう対応するかについて具体的な話はありません。特に人事掛長が「専行職問題で承知しているのは、10月のアンケート だけ」と言われたのが印象的でした。

京都大学独自に行われた10月のアンケート調査を、「国立大学全体を対象にしたもの」と誤認していたり、「国大協では専行職移行についてまだ議論の段階で、移行はまだまだ先のこと」という気の抜けたような話が出たり、率直に言って先行きに不安を感じさせられました。技官部会ニュースやいちょう(11月2日号など)などの機関紙にも載って、組合ではだれでも知っていることを、なぜ当局の人達がこんなにも知らないのかというのが疑問です。どうも京都大学の全学の部局長会議や評議会といった所で、こうした問題がほとんど議論されていないのではないかという危惧を持ちます。

2.定員外職員の定員化・待遇改善 ――― 定員外職員問題を考える機会をもっと

定員外職員の問題では、今ある欠員の取り扱い、そして定員化に向けてどのような可能性があるか、を中心に折衝が行われました。その中で学部長は、定員外職員問題についての認識を、いろいろな場を通じて深める努力をすることを約束されました。

定員削減を踏まえた時に欠員の留保は必要 ―― 事務長

現在理学部にある2つの欠員を定員削減に使うために留保している問題について、事務長から「定員削減をしなければならないという立場に立った時やむをえない措置である」旨の説明がありました。つまり欠員がない場合、配置換の格好で、いわば生首を切るようなことをしなければならないというわけです。また「補任のルールは定員化の妨げにはなっていない」と言明されました。

行Ⅰ事務での定員化は難しい ―― 事務長

定員外職員の定員化については、行政職事務官での定員化は困難ということでした。事務長は、特に①最近は不景気で公務員に人気があること、また②近畿人事院の名簿に人がない場合でも全国の名簿に照会するという方式をとっているために、名簿が切れることがほとんどない、ことを理由として挙げられました。このため、来春3月に生じる予定の欠員を補任する(宇宙物理に充当)に当たっては、名簿から採用する形を取らざるを得ないという説明でした。

概算要求などではいつも定員化を念頭においている ―― 学部長

   専門行政職を用いた定員化については当局の認識は固まっていない

この間の理学部としてのいろんな計画の中で、定員外職員の定員化がどれぐらい積極的に組込まれてきたかについては、学部長から、①重点化の際に一緒に出した「事務機構の拡充」で、10人程度の増員を要求し、それを定員化に充てられないかと考えていた、②「自然史博物館構想」でも増員を要求していた、という説明がありました。ただし、エネル ギー科学専攻への物理のプラズマ部門の移行(来年度)に関っては、理学部としては特に何も要求しておられないようです。この中で専門行政職が、定員外職員の定員化に使えるかどうかについては、学部長は比較的積極的なようですが、事務長は「大学に専門行政職がどういう形で適用されるか見定めた上で」という意見でした。

定員外職員問題について、いろいろな機会に認識を深める努力をする ―― 学部長

折衝の中で定員外職員の方から、最近働いていて、他の職場の定員の職員から見下したような対応をとられるて残念に思うことが増えてきたことが指摘されました。そしてこうした定員外職員に対する意識の風化には、各教室・職場に閉じた形で処理されてきた、またしようとしてきたこれまでのやり方に問題があり、理学部の問題として定員外職員問題をいろんな機会に取り上げて欲しい(たとえば協議会で問題にする、弘報に載せるなど)という提案がありました。それに対し学部長は、今後理学部としていろいろな機会(たとえば主任会議、将来計画検討委員会、協議会など)で問題を紹介し、みんなで認識を深めていく旨、表明されました。

2等級枠外の号俸の適用は検討したい ―― 事務長

なお待遇改善の一環として、2等級19号俸より高位の号俸 があり、それを定員外職員に適用して欲 しいという要求が出されました。これについては調べて回答するとのことでした。

3.その他

行Ⅰ事務官の5級昇格問題は本部に照会する ―― 事務長

行Ⅰ事務官の5級昇格について、理学部に文部省の基準を満たす該当者がいるにも関わらず昇格できていない問題を追求した所、①定数管理は本部で行っているので、理学部ではわからない、②本部に提出する人事の諸要望には載せている、とのことです。この問題については、本部に照会して返事するとのことでした。

教員の任期制は必要ないし、来ても問題ない ―― 学部長

教員の任期制については、学部長は現在の理学部では特に必要がないという認識を示されました。つまり現状で十分人事の交流ができているし、今さら任期制を導入してまで、活性化を図る必要はないと いうわけです。したがって、仮に法律が改正になった所で、理学部としては取り立てて何もしなくていいという判断でした。

リサーチ・アシスタント(RA)について

現在、文部省の概算要求に載っているRA制度について、学部長からRAは現在のティーチング・アシスタント(TA)と同程度の位置付けで考えられている旨、紹介がありました。けれども、その活用の仕方などについては、時間も迫っておりお聞きできませんでした。


注:
将来計画委員会幹事会:
理学部の5つの分野の代表者と、評議員、学部長で構成される。

技官の停年退職者の急増期:
今後6年ぐらいで、現在在職している技官のおよそ半数が停年を迎える。

10月のアンケート:
勤務状況、業績などについて、京都大学の総合技術長名で10月に行われた技官に対するアンケート。10月12日配布、同18日〆という慌ただしいものだった。このアンケートでは、当該技官といっしょに仕事をしている教官にも同様のアンケートが回ってきた(いちょう10月19日号参照)。

2等級19号俸より高位の号俸:
文人給109号なる通達によって、定員外職員は3等級の格付けができないことになっている。そのため、2等級19号俸(これ以上の号俸は普通の俸給表には載っていない)で定員外職員の昇給は止まってしまうとされていた。しかし枠外の号俸が実は規定されており、それの適用は学内措置として実施可能であることが最近、定員外部会などから指摘されている。


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