いちょう No. 99-25 00.5.25.

理学部支部は2000年4月13日(木)午後2時から、丸山学部長、倉本事務長、大塚事務長補佐、井上人事専門職員の出席のもと、学部長交渉を行いました。今回のいちょうでは、交渉でのやりとりと、そこで保留になった事項の進捗状況について、先日5月22日に確認したところをお知らせします。


4月13日の学部長交渉

1.公務災害(森二朗さん)の認定手続きの進捗状況について ―――――

組合:森二朗さんが職場で亡くなられてから足かけ3年になる。今年2月はじめに森さんのご遺族が申立書を書き直し、新しい申立書を地球物理学教室から学部事務に提出したはずであるが、その後、どうなっているか?

事務長:2月下旬に地球物理学教室から申立書が提出された。その内容を再調整し、本部事務局の人事課に関係書類を3月末までに提出する予定だったが、生態研事務の支援や人の移動などのため、提出が遅れている。4月17日からの週には人事課にあげる。
 なお最初の申立書は人事課に持っていくところまで至らなかった。今回、初めて人事課に書類を提出するが、これ以降は人事課のテンポですすむことになる。人事担当の長崎さんが異動したが、後任の井上さんが実務を担当する。地球物理学教室には経過を報告し、協力をあおぐ。

組合:先に地球物理学教室主任の意を受け、教室事務主任から研究科事務部に公務災害申請の進捗状況について問い合わせたところ、「忘れている訳ではない」と冷淡な返事が返ってきたと聞いている。誠意をもってやって欲しい。地球物理学教室サイドでも、公務災害の認定に向けて協力を惜しまないといっている。

事務長:地球物理学教室にもぜひ協力をお願いしたい。誠意をもってすすめていく。

組合:テンポを早く、すすめて欲しい。

2.定員問題について ―――――

組合:定員削減の現状はどうなっているのか?

事務長:「組織の改善」で1名減、従来の定削で2名減、併せて3名減で、第9次削減は完了した。

組合:現在の理学部の現員、定員の数を明らかにせよ。

事務長・井上専門職員:現員は定員99名(2000年4月)である。全部埋められており、欠員はない。

組合:4月1日付の新規採用者が総務部付になっているのは何故か?

事務長:調べてみるが、今まで新規採用者で総務部付というのは、工学部などのように事務部制を敷いていて“事務部長”のいる所について行っていた。今回これを、事務部制を敷いていない理学部に初めて適用した形だ。
 総務部付というのは、新規採用者の研修という意味合いがある。総務部付の5ヶ月の任用期間が済めば、所属が決まり、理学部の職員になるはずだ。総務部付だからといって、本部の方に吸い上げられる危険性はない。

3.事務組織の見直し・キーマン会議について ―――――

組合:定員問題検討委員会が中心になって、事務組織の見直しについて議論されることになっているが、議論は始まっているのか?また理学部として、事務組織の見直しについてどう考えているのか?

学部長:事務組織のこれからのあり方については、私の任期中に方向性を出したいと考えている。まずは事務のあり方について基本的な議論をしていきたい。教室の利害がはっきり言える人を出してもらって、4月下旬に委員会を立ち上げるつもりだ。
 これまでに理学部に近いところでは、工学部・農学部が事務の改編を行っている。理学部としては、建物の問題もあって、農学部の方向は無理だ。工学部の行き方を少し学ぶ形で進めることになるだろう。
 事務の見直しに関わっては人の配置の問題は避けて通れない。特に現在の「補任のルール」には問題がある。今のルールは、数十年前のある時期で定員の線を引いて固定して「仮定数」という形で各教室の既得権とし、それに基づいて行政職員の配置を決める形になっている。しかしその後の定削で総枠(人員)が大きく減っており、見直しが必要だ。

組合:他部局で教室事務の統合などが進む中、理学部における教室事務の必要性について、どうお考えか?

学部長:農・工といったところとは、理学部の教室事務のカラーが違う。農・工などでは、教官にはそれぞれ秘書がついていたから、教室事務の統合には教官側の抵抗は少なかった。

組合:教室事務の見直しにともなって、定員外職員の給与保障に影響が及ぶことはないか?

学部長:定員外職員の給与保障はなくならないだろう。

組合:無理な配置転換や、仕事の押し付けをしては困る。

学部長:理学部全体の事務の枠組みを決めようとする時、一部が気に入らないからと全面反対はやめてほしい。ある程度の我慢は必要だ。

組合:学部としてキーマン会議の位置づけは?

事務長:事務処理に関わって、種々の伝票の取り扱いなど技術的なことを話している。ただしそこでいろいろ問題が出てきたものの、吸い上げ方が中途半端だった感はある。キーマン会議の目的は、いかに労力を少なくし、よい仕事をしていくのかということだけで、組織見直しとは関係ない。

4.評議員選挙制度について ―――――

組合:助手・講師の参考投票は、助手・講師の理学部の運営への発言の機会を保障する上で重要だ。また教官だけでなく、全職員が意見を言う機会を与えるべきで、投票率が低いことと制度とは別であると考える。

学部長:現状では、参考投票の投票率が低いため、2、3票で評議員候補の上位にランクされる。そしてその結果を、教授会メンバーが無批判に眺めて、その順位で評議員が決定されるという形になっている。例えば、前もって教官全員で投票して評議員候補者を5人くらい選び、一定期間おいて投票を行うような形を考えたらどうかと思う。
 助手・講師を参考投票から締め出したりして、評議員選挙から排除することはしない。ただし行政職を入れることについては、文部省からいろいろ言ってくるかもしれないので、自主投票のような形でやってもらうことでよいのではないか。なお職組では、学部長選挙などに当たって、理学部の構成員に候補になる人のプロフィールを配るなどしておられるようだが、ああしたことは今後とも続けていただきたいものだ。

5.独立行政法人化について ―――――

組合:自民党の高等教育研究グループの提言について、どう考えるか?

学部長:自民党グループの提言に関しては、「やっとここまで来たか」という思いだ。これからが正念場となろう。これまで私などが主張してきたこと(たとえば「国立大学法人」化)は、全てこの提言に入っている。けれども言っていないことも入っているのが問題だ。
 自民党グループの提言では、これまでの大学改革は「大学のためにやってあげた」と思っているようだ。しかし大学の側は「とんでもないことをしてもらった」と思っているのが率直なところだろう。教員の任期制や学生の飛び級の導入はその典型的なものだ。
 また特に気になるのは、財政の問題だ。自民党グループの提言には、高等教育の予算を増やすと書いてあるが、どう増やすのか、そこの所が問題だろう。理学部としては、校費などの基盤的な経費は最低限保障するような形を求めたい。また単純に「企業会計原則」を導入したとすると、予算が負債で始まることになるだろう。するとその分の仕事をしたかどうかが論われることになり、大変息苦しいことになる。
 私は産学共同を否定しない。取れるところから取ればいいのだ。ただ特定の私企業が有利になることはいけない。そのために、研究内容や資金のやり取りについて、透明性を保つことは当然のことだ。
 なお東大内のグループが実際の法制化作業を進めている。その中では、自民党グループの提言にもある有力国立大学の「大学院大学化」が入っている可能性もある。

6.その他 ―――――

組合:理学部支部にホームページアドレスが欲しい。

学部長:HPアドレスについては問題ないだろうが、極端な政治宣伝などは良くない。教授会で確認する。

組合:メーデーについて

事務長:メーデーは特に言うことはない。

*******************************************************************************************

後日談:あるいは当局の「誠意」

5月22日(月)1時30分から事務長に会い、交渉の時の懸案事項について聞きました。事務長の他に大塚事務長補佐、井上専門職員が参加しました。組合側は書記長と書記次長が会いました。

☆公務災害の認定書類の提出について

Q:交渉の時、「4月17日からの週に書類を人事課に出す」といっていたが、いつ出したのか?

A:4月18日に人事課に出した。これは人事課から具体的なアドバイスを受けるために出したものだ。アドバイスを受けてから、改めて正式に公文書を付けて出す。しかしまだ、人事課は見ていないようだ。しばらく時間がかかる。

☆総務部付の職員について

Q:総務部付の職員のことについて調べたか

A(事務長):確実に調べた訳ではないが、定員を吸い上げることはない。理学部の定員だから。

A(補佐):今度、人事課にいくことがあるのでそれとなく聞いてみる。

☆支部ホ-ムペ-ジのアドレスについて

Q:教授会にかけて、返事をすることになっていたがどうなったか?

A:教授会にまだかけていない。他学部の情況等を調べて6月の主任会議等にかける。京大の中で、組合がアドレスを持っているところがあれば、また教えて下さい。


「いちょう」へ