先のいちょう[No. 99-1、99.8.30]でも取り上げましたが、国立大学の独立行政法人化をめぐる動きが急です。その後の展開も含め、少し現状を整理して紹介します。
9月7日、国立大学協会(国大協)の第1常置委員会は「独立行政法人化にあたっての条件」について最終報告案をまとめました。報道されて催行いる内容は、先に日経が伝えたところ[日経8.27]と同様、①学長は評議会で決定、②教育公務員特例法を維持、③業績評価は学内や第三者評価機関の意見を尊重、④原則として1大学1法人、といったところです。なお、独立行政法人制度の枠内での「特例法」の要求(同じ公務員でも「教育公務員特例法」があるようなもの)の他に、「国立大学(法人)法」といった、独立行政法人以外の公的法人化案も含まれているようです。文部省もこの案を概ね受け入れているとのことで、9月13日の国大協臨時総会の議論を経て、9月16日の文部大臣の私的諮問機関「今後の国立大学等の在り方に関する懇談会」の結果も踏まえ、9月20日に予定されているといわれる国立大学長会議で、文部省-国大協の戦略は確定する運びのようです(そして9月21日の自民党総裁選挙、内閣改造、有馬文相退場・・・)。
ただしこの案は、財政投融資からの1兆円の借金を棒引きにしろ(例えば京大病院の建物は財政投融資からの基金を受けて建設されているとのこと)といった、率直に言ってあまりにも都合のよいもので、すんなり受け入れられるものとは思えません。またこの案を軸に、独立行政法人化に対する条件闘争に入ったとして、「独立行政法人派」とは折り合いがついたとしても、「民営派」とはさらに厳しい折衝が待っています。
ともあれ「21世紀の大学像」の大学審議会答申を金科玉条にして、独立行政法人を免れようという姑息な文部省の手法は限界にきたというべきでしょう。この5月に成立した国立学校設置法の改正で、来春から作ることにした「運営諮問会議」は、結局何だったんでしょう!!未だ、法改正に関わる省令さえできていないようですが、あれは「一生懸命改革してる」という“アリバイ”だったんでしょうか。情勢は、正面から「なぜ私立でなくて国立か」「なぜ専門学校でなくて大学か」といった問題を取り上げねばならないところに来ているようです。
京大の「設置形態検討会」(メンバーは、宮崎、赤岡両副学長と、田中(法)、丸山(理)、西川(医)、荻野(工)、阪上(人文)の7人に、オブザーバーとして朝倉総務部長、鎌田経理部長。われらが丸山学部長は、大いに気を吐いておられる由)も、熱心に検討を進めておられるようですが、学内に閉じず、広く国民一般もうなづける結論を得ていただきたいものです。また長尾総長にあっては(東大の蓮見総長を上回るのは難しいでしょうが)、もっと積極的な発言、リーダーシップを期待したい(総長のリーダーシップ関係予算はどうした!)ところです。まさか、「第3キャンパスさえ実現できたら・・・」何てことはないですよね!