いちょう No. 99-11 99.11.11.

これまで待遇改善要求は、公務労働、とりわけ大学での仕事においては職務評価が困難・不可能であることを前提に、具体的な仕事内容には触れず、年功序列、異動回数、あるいは他の職場、他省庁との横並びをテコに行われることが多かったように思われます。今回の行政措置要求の特徴の一つは、そうしたものとは一味違い、措置要求の中で、積極的に職務評価がなされることを求めていることにあるかもしれません。今回の行政措置要求の要求書から、かいつまんで紹介します。


「評価」を求める女性たち ―― 行政措置要求、要求書から

Yさんの場合

「現在の京都大学の人事のやり方は、ライン制の職員に比べ、スタッフ制の職員の昇任のチャンスがあまりに少ないものとなっています。このことが、京都大学で男女の給与の大きな格差を生み出す原因となっています。・・・では、なぜスタッフ制の職員の昇格のチャンスが少ないのか、それは、端的に言って、当局も明言していることですが、京都大学の昇任の基準が明確でないからです。そのため暗黙のうちに、職場の異動回数など、ライン制に乗った職員に有利な指標に基づく、恣意的な昇任人事が行なわれてきたのです。・・・

「10年前の行政措置要求で、女性の職員研修への参加が認められるようになり、学科事務での主任発令も増加しました。しかし、昇任基準の恣意的な運用が、それ以上の男女の平等の実現を阻んでいます。こうした、男女差別を解消して、現在男性についてはほぼ実現している、退職時6級以上が実現されるよう願うものです。とりわけ、定年が近いこともあって、特別措置をとられることを希望します。

Kさんの場合

「私の所属する職場は他の京都大学の教室および研究室系事務職場と同様に、教育研究の最先端の現場を直接支援する大学特有の必要かつ重要な職場として大学組織の中に存在しています。しかしながら従前より行政事務組織としての位置づけもあいまいなままで放置され、役職ポストもなく研修や異動の機会もあたえられていませんでした。・・・配置における男女の不均衡がそのまま昇任・昇格の差別となって現れていると考えられます。 「このことについては、先の行政措置要求時の本学ににおける実態調査の際にも説明し、貴院は職務の重要性も評価して昇格の改善にも努力するよう文部省に指導すると約束してくださいました。しかしながら改善されたとはいえ、教室及び研究室系事務職場に対する組織としての職務評価は、やっと最高ポストに主任を配置するにとどまっています。

「大学が必要とする仕事があり職場(組織)として存在する以上、教室及び研究室系事務職場に対する現行のような低い職務評価は同一価値労働同一賃金の原則の基礎にある均等待遇の理念に反した、女性差別である、と言わざるをえません。教室及び研究室系事務職場においても、専門職員、掛長相当ポストを配置するなど昇任・昇格のための必要な措置を講じ、5級への昇格、退職時には6級とするよう要求します


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