今回、理学部支部長を引き受けるに際して、私は大学の研究者が共通に直面している「多忙化」の問題を最重要課題のひとつに掲げました。私自身の生活を振り返っても、国外、国内を含めて平均すれば月に1、2回の研究会や学会への参加やそのお世話、他大学などでの集中講義、学科や学部の各種委員会、様々な申請書の作成、などに追いまくられている現状です。これらは一つひとつをとればそれほど時間を取らない仕事ですがそれらが積み重なって、通常の教育・研究活動をも圧迫するほど大きな問題となっています。これはおそらく大部分の研究者の抱えている共通の悩みだろうとおもいます。さらに、単に研究者だけが悩んでいる問題ではなく、定員削減の進行とも相まって、事務や図書などの行政職さらには学生(特に大学院生)にも深刻な影響を与えている問題でもあります。
このような大学の多忙化進行の背景には日本経済の技術的基盤を強固にするために科学技術にもっとお金を注ぎこもうという国の政策があります。このこと自身は大変歓迎すべきことですが、問題はそのお金の使い方が「最新の新しい機器を導入すれば研究が進む」という「ただ物主義」と「短期間に限られた分野や大学に集中的に投下したほうが効率がよい」とする「重点主義」にあります。米国の NSF や NIH などに対応する日本の研究費に科研費がありますが、その大部分は NSF や NIH と異なり、人件費として使うことはできな い仕組みになっています。その結果、大きなお金があってもその経理や機械の世話は現在の事務職員や大学院生の負担になってしまう。特に、使用目的と期限を絞った大きなお金が重点的に学科や研究室に投下されても、学科全体の教育条件や職員の待遇が改善されないばかりか、その負担がよくに若手研究者や大学院生に集中し、学科や研究室の研究活動がスローダウンしかねないという皮肉な問題も出てきています。さらに深刻な問題は、校費などの経常費が毎年実質的に削減されているために、研究者が研究活動を維持していくためには科研費などの一過性のお金に頼らざるを得ず、その獲得のために学会の「お付き合い」に相当の時間を使わざるをえないという「悪魔のサイクル」に陥っているような気がしています。このような現象は数年前日本の国家経済が経験した「バブル」とその崩壊過程に恐ろしいほど酷似しています。
「バブル崩壊的危機」から大学の研究・教育を救うためのキーとなるのは「ただ物主義」と「重点主義」に基づく予算配分をやめて、研究をやるのは「人」だという原点に戻って人とその能力の発展を大切にするような予算配分に切り替えることだと思います。そして、そのことが現在我々が国の指導者が目指している日本の科学技術のレベルの飛躍的向上という至上命令に対する真の解答であると考えています。
10月19日に公示された、平田文男前支部長(化学)の転出にともなう支部長選挙(投票期間10月26日~11月1日)の結果、宇宙の平田龍幸さんが当選されました。選挙は平田龍幸さん以外の立候補がなく、信任投票となりました。開票結果は次のとおりです。
有権者数: 151
投票総数: 100(投票率 66%)
信任: 99 白: 1 不信任: 0 無効: 0
突然の選手交代にて,気持ちの整理もつかぬまま,お引き受けすることとなりました.
最近は仕事にかまけて,職員組合の方は疎遠でしたが,天罰と観念した次第です.まだ支部の状況把握もできていませんが,その内追いつく所存です.よろしくお願い致します.前支部長平田さんより,やりかけの仕事等説明を受けましたが,このことを念頭において残りの期間 を頑張りたいと思います.最近の京大の状況は大学院重点化等,形式はともかく,実質はあまり大学の選択の余地のない形で事態が推移し,多くの方が憂慮,不安をもっています.組合は多数の方の意見を結集して,反映する努力が必要です.出張等多く,万全のことはできかねますが,精一杯努力する所存です.取り急ぎ,ご挨拶まで.