いちょう No. 99-23 00.3.30.

理学部支部の支部長、そして本部の委員長も(共に一度と言わず二度までも)務められた宇宙の斎藤さんも、この3月いっぱいで停年を迎えられます。その斎藤さんからのあいさつです。


停年を迎えて

斎藤 衛(宇宙物理分会)

私は,京大理学部に約19年間勤務し,この3月で停年退職することになりました。私にとっては研究・教育活動と職員組合活動は一体のものでした。みなさんには両方の面でたいへんお世話になりました。ありがとうございました。

この19年間にいろいろなことがありました。比較的最近には,大学の制度改革として,大学院の重点化,教員の任期制,大学の独立行政法人化という重要な問題ががとりあげられました。職員組合としては,大学院の重点化の是非については意見が分かれましたが,後の2つについては意見がほぼまとまり,問題点や大学の実状を各方面に訴え,よく運動を展開したと思います。そして成果もあり,職員組合の存在価値を改めて示しました。

ここでは,みなさんがあまり言わないことで,私が重要だと思っていることを1つ述べてみます。それは,国の政策として,用務員さんなどのいわゆる行二職員を定員として大学に配置できなくなったことです。大学はふつうの役所とは機能が違います。大学は1日の大半の時間,研究や教育活動の場として使われており,建物の管理・掃除や庭の手入れ,構内の美観は,大学で活動をうまくすすめるために,とても大切なことなのです。構内に勝手の知った宿直がいることは,大学が安心して研究・教育をする場であるためには必要なことなのです。大学が文化活動の場として栄えるためには,大学を日常的に裏から支える人たちがいることが絶対に必要であることを強調したいと思います。

教員も学生もゆったりした気持ちで勉強し,その成果が社会に還元され,社会は大学の役割を評価して支える。21世紀の早い時期に,こんな大学が実現することを夢見ています。そのためには,市民の見識がもう少し上がらないと如何ともならないように思えます。私も今後は,一市民として,そこらへんをなんとかしたいものと考えているところです。


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