いちょう No. 95-15 96.1.11.

去年の暮れ、書記次長の氷室さんは、ハワイのホノルルマラソンに参加、完走されました。理学部支部を支えるヤングパワーに、年頭を飾るにふさわしい、その印象記を寄せていただいています。


走って見たハワイ

書記次長  氷室智子(物理学第一教室)

軽く返事をしたのが、間違いのもとだった。

健康のため(!?)にと始めたつもりが、ホノルルまで行くことになるなんて。私の人生の中で42.195kmを走るなんてのは、全くもって誰が予想できたことでしょう。42.195kmと数字にするとピンとこないが、だいたい京都~大阪間らしい。それを完走したなんて(いや正確には完歩だが)私自身信じられない。私自身が信じられないくらいだから、私のことを知っている人はもっと信じられないだろう。

朝は、5時30分から走り始め、走り終えたのはもう陽が真上。何度止めようと思ったことか。なんのことはない外人のおまわりさんにHELPと言う勇気がなかったのだ。おまわりさんがいたら今度こそ!!と思いながら、あと半分、あと10km、あと数kmという標示を見ると、しかたがないあきらめて走るか、となってしまいなんとかゴールまできてしまった。

途中で応援してくれている人たちの声がうっとうしくも思えたが、ゴール近くになると、その応援がうれしくもなり、手を振る余裕さえもでてきた。

ホノルルへ行って完走できたことは、“人間やればできる”ということを私自身身を持って感じたわけで、しんどかったけどそれはそれなりに良い経験ができてよかったと満足している。

帰国した次の日にボウリングへ行った私は、自分がこんなにも回復力が早く、こんなに丈夫にできていることを発見してしまった。思わず、丈夫に育ててくれた両親をありがたく思う一方、もう少しか弱く育ててくれても良かったのにと恨めしくも思った。

今となっては、本当に完走できたことが、ホノルルへ行ったことが、夢だったのでは!?と思えてしまう。でも、靴下やTシャツ、スパッツの灼けた後を見ると夢ではなかった、と思い直す今日この頃であった。


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