いちょう No. 97-11 97.10.30.

京大の経理調査開始

10月18日の朝日新聞夕刊は、「京大9部局で不正経理」という1面トップの大見出しで、このことを報じました。問題にされたのは、年度末に消化できなかった金を、業者に「預け金」として払い込んで、次年度に使用したというもの。業者の経理資料の調査をしていた税務当局からの連絡を受けて、6月頃から大学当局は調査を続けてきたようです。新聞の追求に、18日の夜、黒川事務局長、谷口経理部長らは、記者会見(この日、総長はエージェンシー化で記者会見。こちらは目立たない10行余りの記事(さすがに京都新聞は大きな扱いをしてくれてましたが))に臨み、「9部局90あまりの研究室について調査している」「4月末で預け金を凍結する処置を取った」「手続き的に不適切だった」などと説明したようです。なお今後の対策については「本来の手続きをしっかりやる、ということになるでしょう」とのべたとのこと。

この問題をめぐって20日に全学では臨時部局長会議、臨時事務長連絡会が、理学部でもこれを受ける形で臨時主任会議、臨時事務主任会議が開かれました。ある学部では、8月以降、物品の納入にあたって、試薬の1つ1つに至るまで、事務の経理担当者が確認するという、厳しい管理体制を敷いています。理学部では、問題の業者との過去に遡っての取り引きの調査など行われていますが、まだ、事態はそこまで来ていません。かりに、物品の納入を逐一、経理担当者が確認するというような事態になったとすれば、特に実験系を中心に、その影響は計り知れないものがあります。

何にせよ、この間多額の予算が大学にきたことは事実です。それだけに厳しいまなざしが注がれることは当然だというべきでしょう。昨年は、科研費の不正流用で岡山大学歯学部の教授が懲戒免職になりました(いちょうNo. 95-21)し、国会で「日付のない納品書」の問題が取り上げられ、日付を入れても良いことになりました。われわれ自身、世間からの厳しいまなざしに、積極的に応えていく努力を怠ってはなりません。


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