いちょう No. 99-10 99.11.4.

1999年6月1日現在の、京大の事務職員の年齢、男女別の統計が明らかにされています(自称“女性の味方”、原口前人事課長の置き土産?)。今回の「いちょう」では、その特徴について紹介します。


京都大学の事務職員の役職別、年齢別、男女別分布

事務職員の年齢、男女別分布

下図に示すのは、京大の事務職員の年齢分布とそれぞれの年齢の女性比率です。年齢分布は2こぶラクダになっていて、30歳前後と50歳代前半にピークがあり、中間の40歳代前半の層が非常に手薄になっています(42歳は1桁、9人としかいない)。日本の人口構成自体がこうした傾向はもっていますが、京大では60年代の急拡大の後で定員削減がかかるという事情があって、この2こぶラクダが非常に顕著になっています。この結果、昇進・昇格をめぐって、いわゆる「団塊の世代」の問題が、極めて深刻な形で現れることになっています。

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女性の比率に注目すると京大全体の事務職員数は1053人で女性は380人と全体の36%です。年齢別に見ると20台では女性は5割強を占めていますが、年齢が上がるにつれ40歳ぐらいまで比率は漸減し、その後およそ3割から4割で若干比率は上昇する傾向にあるようです(=女性の2こぶラクダ構造はより顕著)。詳細についてはさらに分析が必要ですが、公務員の場合、少なくとも“入り口”での男女の平等が図られてきたこと、そして女性の結婚退職という現象が、こうした比率の年齢分布を生み出しているもののようです。

役職者の年齢分布

役職者の分布を、ここでは平の掛員、主任、主任以上(掛長、補佐、事務長、課長、部長・・・)という3段階に分類して考えることにします。すると京大全体の事務職員1053人の内、平の掛員は370人、主任が315人、主任以上は368人という構成です。「役付きばかりで働く人がいない!」という構図ですが、「役職給」「年功」(「等級-号俸」制)という公務員の構造の下で、上で見た年齢構成のため“部下”を持てなくなる中、何とか待遇の改善を図ってきた結果生まれた姿といえましょう。この役職の分布を年齢別に見ると、下図のようになっています。10人余り取り残されたかっこうの人がおられますが、35才を境に掛員が主任に昇格する構図がほぼ確立しています。そして40才代前半から徐々に掛長や専門員に昇格する人が出てきます。最近の公務員制度改革の動きは「評価」をテコに、こうしたトコロテン式のありように批判を投げかけるものになっています。今回の独立行政法人化の動きの中ではさらに進んだプランも出されており、例えば通産省では、16機関を統合して生まれる独立行政法人で、いわゆる「フラットな構造」を導入する(=現在の「等級-号俸」制ではなく、単一の号俸の中で給与が変動する)としています。

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ここで興味深いのは、40才後半以降定年に到るまでの年齢層で、昇進が果たせず、主任に止まる人が残ることです。掛員から主任は誰でもなれる。そこで主任からそれ以上になれる人たちと、なれない人たちに大きくコースが分かれる。そうした構図がここからは浮かび上がってきます。また52才のところに主任の多い年齢層が存在します。この年齢はそもそも数が多いということもあるのですが、こうした内実については次に見てみることにします。

男女別の役職者の年齢分布

先ほど40歳台に入って、「主任止まりコース」と「上級コース」に分かれるという内情は、男女に分けて分布を見てみることで明瞭に見えてきます。下図には、男女別に分けた役職者の分布を示します。この図からはっきりすることは、男性の場合には、「35才で主任、40才台前半で掛長(専門職員)」という構図が確立していることです(45才以上の男性で主任の比率は11%)。一方女性の場合には掛長ポストへの昇進は、50才代の前半になってようやく本格化しますが、50才以上の女性の75%、4分の3は主任のままです(男性では8%)。先の役職者の年齢分布で特異的に52才に主任が多かったのは、女性の比率がこの年代に高く、また女性への掛長ポストの配分が50台半ばから本格化することによっています。さらに現時点では該当する職員数が少ないので明瞭ではありませんが、「35才で主任」についても、女性の場合には積み残しが出る傾向にあるようです。

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このような格差の原因については、女性職場となっている教室事務の存在が以前より指摘されています。しかし、そうした職場を低い評価のまま放置してきた責任も含め、果たして問題はそれだけに止まるのかどうか。今、行われている行政措置要求の行方には、大いに関心のもたれるところです。


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