いちょう No. 97-11 97.10.30.

総長選挙(11月14~15日)に寄せて


医農工サイクルに突破口を!

化学  藤村 陽

京大総長は、1957年以来7代40年に亘って、医農工医農工医のサイクルで選ばれてきていて、総長選挙といっても理学部からは遠い別の世界の話のように感じられてきたのではないでしょうか。しかし今回の選挙は理学部にとって非常に重大な選挙といえます。このところ東大・京大法人化論が急浮上しましたが、京大でも一部部局では民営化した方が民間資金がドッと入って豊かになるという考えが広報にも掲載されています。新薬治験に際しての金銭授受が私立大学教員なら無罪というエピソードもこうした一部部局の民営化論には追い風でしょう。しかしそのような恩恵にあずからない理学部のような“虚学部”が“実学”の論理によって切り捨てられたときのダメージは計り知れません。 前回もそうでしたが、これまでにも理学部から第二位候補までは票が集まっているようです。大学教員も教育者である以上、参政権の行使について手本を示そうではありませんか。


京大総長 ―― こんな人になって欲しい

物理Ⅱ 山田 良透

行政改革の折、大学を取り巻く情勢も厳しいものになっています。6月には任期制が法制化され、昨今は国立大学のエージェンシー化を行革の目玉にしようという動きがあります。乱暴な民営化論は、理学部や文学部等の非実学分野には百害あって一利無しです。政府の政策は収支の帳尻合わせに終始していて、大学が本来社会に果たすべき役割という点に思いが至っていないように思われます。

大学の役割は、学問の中心であるとともに長い目と広い視野に立ってものを見られる人材を社会に送り出すことではないでしょうか。この点に、実学も非実学もありません。大学の有るべき姿に対して確固たるビジョンを持っており、政府の「イエスマン」ではなくはっきりとした発言が出来る人材こそ、いま京都大学総長として求められている人材ではないでしょうか。投票に行って、そういう人を是非送りだそうではありませんか。


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