ようやくに、事務組織のOA化も現場の方まで浸透し、仕事も職場も大きく変わりつつあります。図書はその中でも先頭きって走っています。年頭に当っていちょうでは、理学部中央図書の状況について、慈道さんに紹介願いました。
理学部中央図書室は、昭和54年図書掛が新設され、それを母体として発展し現在に至っている。位置は、理学部1号館の今出川通に面した3階部分と一部4階部分である。利用者はこれまでから主として学部学生であるが、教養部がなくなってからは1回生から、さらに他学部の学生も利用されるようになった。
中央図書室の特徴は、サービスの近代化・強化・拡大を目標にかかげ、中央図書室を実験の対象にはじめられた図書の貸出・返却システムである。全学に先駆けてUNIXのワークステーションを導入して図書館業務を実施している。しかも既製のパッケージを導入するのではなく、自分達で設置・開発したもので、地磁気世界資料センターの亀井先生と地球物理学教室の麻生技官をはじめ、関係教室の御協力によるものと感謝している。
昨今、学術情報を取り巻く環境が大きく変化してきている。現在全国の大学図書館は、東京にある文部省大学共同利用機関である学術情報センターに接続し、図書や雑誌の目録を登録すると共に、ユーザーは日頃それらのデータを図書館にある端末やKUINSを使って研究室の端末から検索している。検索においては他大学の所蔵状況も同時に把握することが可能で、さらに画面に表示された書名等を取り込んで、オンラインで複写を依頼できるようになっている。この一方、検索端末の不足や不慣れ、あるいは現状ではほとんどの図書の目録がカード体であるため、利用方法は従来と大きく変わっていない現実もある。しかし技術の進歩は休みなく続いているわけで、利用者においては、学部生の時代から端末や関連機器を利用して各種情報を調査、収集する方法に慣れ親しむことが大切である。
幸いに昨年度は、1・2回生の図書室利用にあたって中央図書室を充実するために、特別に予算をいただいた。関係者には随分無理をしていただいた。このお金で部屋の模様替えをし、利用者用のスペースを拡げることができたし、利用者用検索端末を設置し附属図書館から離れた位置にある理学部でも、附属図書館の利用者用端末と同じ状態で利用することができるようになった。今年度はAVブース(ビデオ、CD、カセットを再生)を2台お願いしている。ただ色々したいことがあってもスペースがないし、そんなに予算もない。
一昨年、12年ぶりに理学部に戻った時、中央(共通)の設備の貧弱さにびっくりした。それまで学部で卒業した人は何程の施設を使ったのだろうと思えた。中央図書室の位置付けについては、かねてよりいろいろ議論がある。しかし、今後中央図書室が学生用の図書室と位置付けられても、本と机を用意したらよいという従来の考え方ではすでに時代に対応できない所に来ている。多様な媒体の出現やネットワーク化の進展に応じて、それらを自由に・適格に・高度に利用できる環境を整えていく必要があるのではないだろうか。