いちょう No. 97-24 98.2.18.

京都経済の再生と府民のくらし

「いま政治とは何か、連続学習会第一回」に参加して

物理 II 前川 展祐

この学習会は、10週連続で、「毎週火曜日の昼休みに、毎回、テーマを決め、その専門家を招いて、話を聞き、議論する」というものだそうです。4月の府知事選をにらんで、企画された、とのことですが、私は、純粋に専門家の人がどのように考えているのか、ということに興味を持ち、参加させていただきました。

さて、第一回は、「京都経済の再生と府民のくらし」というテーマで、経済学部の岡田知弘さんの話しを伺いました。岡田さんはあるグループで府政についての研究をここ数年、やっておられるそうで、「京都府政研究97」という本をまとめられたそうです。岡田さんの話しは、私なりの理解になりますが、次のようなものだったと思います。

京都経済の低迷と政策のありかた

まず、全国的に見て、近畿の経済状況がひどく、その中でも京都府は良くない、ということを失業者数と事業所数、 従業者数の資料を見て、説明されました。その原因は、いろいろあげておられましたが、記憶にあるのは、(1) 円高による産業の空洞化(生産拠点の海外移動)と安い輸入品との競争、(2)京都が小規模事業者が多いため規制緩和(大規模店舗等に関する)の影響をもろに受けたこと、そして(3)経済政策(国政だけではなく、府政も)の失敗です。

京都府は景気対策として、公共事業に借金をしながら投資している、ということを資料を見ながら説明され、公共事業に使われる材料、コンクリートや鉄、アスファルト等は、京都の産業になっているものは少なく、京都府の景気を上げるという視点に立つと、土木の公共事業は効率的ではない。むしろ、繊維産業等の京都の地場産業にお金がまわるような使い方を考えるほうが良いのでは、という話しでした。

京都から見る、日本の直面する大きな問題

感想としましては、公共事業といっても毎年同じところを工事しているように見える道路工事は何の役に立っているのか理解できないですが、地下鉄の整備は生活者の立場に立てば、便利になる(私には今回の地下鉄工事はほとんど恩恵にあずかれていませんが)し、環境問題を考えても推進すべきなのでは、と思いましたが、その便利さによって、買い物を地下鉄を使って伊勢丹に行く等の行動により、小規模店舗の経営を圧迫しているという指摘をされた方もあり、日本が直面している問題(保護と自由貿易)の雛形がこの京都にも存在してい ることを感じました。短い時間でしたが、興味深い話しが聞けたと思っています。


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