2022.8
吉村洋介
化学実験 実験にあたって

軽元素の同位体組成

多くの元素の原子は複数の同位体からなっており 、 同位体分離に類する人為を特に加えずに地上で入手できる元素の同位体組成はほぼ一定です。 ここでは原子番号 20 のカルシウムまでの(ほぼ)安定な同位体について、 その相対原子質量と存在比をまとめておきます。 今日の質量分析の精度は極めて高く、同位体原子の質量は詳細に検討されていますが(不確かさが 10-10 程度まで)、 ここでの表示は5ケタに止めてあります。 また組成比の不確かさの表示も省いてあります (組成比の表示ケタが少ない元素は、 試料中の同位体組成のばらつきが大きく、 標準原子量の不確かさも大きい元素です)。 さらに詳細な値については NIST のページ http://www.nist.gov/pml/data/comp.cfmなどを参照ください。

Be、F、Na、Al、P、Sc、Mn、Co、As、Y、Nb、Rh、I、Cs、Tb、Ho、Tm、Au の18 元素はただ1つの安定同位体からなることが知られています。 なお以前はビスマスBiもただ1つの安定同位体からなるとされていましたが、 近年になって半減期100億年以上で壊変することがわかり、 安定同位体から外すのが通例となりました。

表1.原子番号20までの元素の、地殻に存在する安定同位体とその組成比(モル分率)。
原子番号元素記号質量数相対原子質量組成比/% 原子番号元素記号質量数相対原子質量組成比/%
1H11.0078 99.988 13Al2726.982100.000
D22.0141 0.012 14Si2827.97792.223
2He †44.0026 99.999 2928.9764.685
3Li66.0151 7.59 3029.9743.092
77.0160 92.41 15P3130.974100.000
4Be99.0122 100.000 16S3231.97294.99
5B1010.013 19.9 3332.9710.75
1111.009 80.1 3433.9684.25
6C1212.000 98.93 3635.9670.01
1313.003 1.07 17Cl3534.96975.76
7N1414.003 99.636 3736.96624.24
1515.000 0.364 18Ar3635.9680.337
8O1615.995 99.757 3837.9630.063
1716.999 0.038 4039.96299.600
1817.999 0.205 19K ‡3938.96493.258
9F1918.998 100.000 4039.9640.012
10Ne2019.992 90.48 4140.9626.730
2120.994 0.27 20Ca4039.96396.941
2221.991 9.25 4241.9590.647
11Na2322.990 100.000 4342.9590.135
12Mg2423.985 78.99 4443.9552.086
2524.986 10.00 4645.9540.004
2625.983 11.01 4847.9530.187

† ごく微量(1.34×10-7)の 3Heが存在します。
40Kはゆっくり壊変します(半減期約12億年)が、 ほぼ安定とみなせるので載せてあります。


「実験にあたって」のページへ