物体の中で温度 T が不均一であると、熱の流れが生じて温度が均一になろうとします。 熱の流れは空間的な温度の変化の度合い、温度勾配に比例することが知られており(フーリエの法則)、 単位面積、単位時間あたりの x 方向の熱の流れ q は、q = -k dT/dx で表されます。 この比例定数 k を熱伝導度と呼びます。
表 1 にさまざまな物質・材料の熱伝導度をまとめておきます (主として理科年表、CRC Handbook of Physics and Chemistry によります)。
金属はケタ違いに大きな熱伝導度を示し、 電気伝導度の大きな金属ほど熱伝導度が大きくなります (ヴィーデマン-フランツ Wiedeman-Franz の法則)。 また気体(表中 * を付けたもの)の熱伝導度は、 圧力にほとんど依存しません (魔法瓶のような真空度の高い領域に接近すると、 そもそものフーリエの法則が破れます)。
物質 | 温度 | k/W m-1 K-1 | 物質 | 温度 | k/W m-1 K-1 |
---|---|---|---|---|---|
空気* | 300 K | 0.026 | アスファルト | 常温 | 1.1 - 1.5 |
アルゴン* | 300 K | 0.018 | 紙 | 常温 | 0.06 |
二酸化炭素* | 300 K | 0.017 | ボール紙 | 常温 | 0.2 |
ヘリウム* | 300 K | 0.157 | ガラス(パイレックス) | 常温 | 1.1 |
水素* | 300 K | 0.187 | ガラスウール | 常温 | 0.04 |
アセトン | 25 °C | 0.161 | 氷 | 0 °C | 2.2 |
エチルエーテル | 25 °C | 0.130 | コルク | 常温 | 0.04 - 0.05 |
シリコンオイル | 25 °C | ~0.15 | ゴム(硬) | 常温 | 0.2 |
グリセリン | 25 °C | 0.285 | ゴム(スポンジ) | 常温 | 0.04 |
オクタン | 25 °C | 0.124 | コンクリート | 常温 | 1 |
トルエン | 25 °C | 0.131 | 磁器 | 常温 | 1.5 |
水 | 25 °C | 0.606 | 砂 | 常温 | 0.3 |
アルミニウム | 0 °C | 236 | 耐火レンガ | 600 °C | 1.1 |
黄銅(真鍮) | 0 °C | 106 | ポリエチレン | 常温 | 0.25 - 0.34 |
銀 | 0 °C | 428 | ポリスチレン | 常温 | 0.08 - 0.12 |
水銀 | 0 °C | 8.175 | テフロン | 常温 | 0.26 |
18-8ステンレス | 0 °C | 15 | 発泡ポリスチレン | 常温 | 0.03 |
鉄 | 0 °C | 83.5 | 木材(乾) | 常温 | 0.14 - 0.18 |
銅 | 0 °C | 403 | 綿布 | 常温 | 0.08 |
ニクロム | 0 °C | 13 | 羊毛 | 常温 | 0.04 |
ニッケル | 0 °C | 94 | レンガ(赤) | 常温 | 0.5 - 0.6 |
水の熱伝導度は、 水の加熱・冷却に関わって重要なので、 その温度依存性も表 2 にまとめておきます。 多くの液体の熱伝導度は、常圧で温度の上昇にともない低下しますが、 水の熱伝導度は大きくなります。
温度/°C | k/W m-1 K-1 | 温度/°C | k/W m-1 K-1 |
---|---|---|---|
0.01 | 0.561 | 50 | 0.644 |
10 | 0.580 | 60 | 0.654 |
20 | 0.598 | 70 | 0.663 |
25 | 0.607 | 80 | 0.670 |
30 | 0.615 | 90 | 0.675 |
40 | 0.631 | 100 | 0.679 |