2022.10
吉村洋介
化学実験 資料編

種々の物質・材料の熱伝導度

物体の中で温度 T が不均一であると、熱の流れが生じて温度が均一になろうとします。 熱の流れは空間的な温度の変化の度合い、温度勾配に比例することが知られており(フーリエの法則)、 単位面積、単位時間あたりの x 方向の熱の流れ q は、q = -k dT/dx で表されます。 この比例定数 k を熱伝導度と呼びます。

1.種々の物質・材料の熱伝導度

表 1 にさまざまな物質・材料の熱伝導度をまとめておきます (主として理科年表、CRC Handbook of Physics and Chemistry によります)。

金属はケタ違いに大きな熱伝導度を示し、 電気伝導度の大きな金属ほど熱伝導度が大きくなります (ヴィーデマン-フランツ Wiedeman-Franz の法則)。 また気体(表中 * を付けたもの)の熱伝導度は、 圧力にほとんど依存しません (魔法瓶のような真空度の高い領域に接近すると、 そもそものフーリエの法則が破れます)。

表 1.種々の物質・材料の熱伝導度 k
物質温度k/W m-1 K-1物質温度k/W m-1 K-1
空気*300 K0.026 アスファルト常温1.1 - 1.5
アルゴン*300 K0.018 常温0.06
二酸化炭素*300 K0.017 ボール紙常温0.2
ヘリウム*300 K0.157 ガラス(パイレックス)常温1.1
水素*300 K0.187 ガラスウール常温0.04
アセトン25 °C0.161 0 °C2.2
エチルエーテル25 °C0.130 コルク常温0.04 - 0.05
シリコンオイル25 °C~0.15ゴム(硬)常温0.2
グリセリン25 °C0.285 ゴム(スポンジ)常温0.04
オクタン25 °C0.124 コンクリート常温1
トルエン25 °C0.131 磁器常温1.5
25 °C0.606 常温0.3
アルミニウム0 °C236耐火レンガ600 °C1.1
黄銅(真鍮)0 °C106ポリエチレン常温0.25 - 0.34
0 °C428ポリスチレン常温0.08 - 0.12
水銀0 °C8.175テフロン常温0.26
18-8ステンレス0 °C15発泡ポリスチレン常温0.03
0 °C83.5木材(乾)常温0.14 - 0.18
0 °C403綿布常温0.08
ニクロム0 °C13羊毛常温0.04
ニッケル0 °C94レンガ(赤)常温0.5 - 0.6

2.液体の水の熱伝導度

水の熱伝導度は、 水の加熱・冷却に関わって重要なので、 その温度依存性も表 2 にまとめておきます。 多くの液体の熱伝導度は、常圧で温度の上昇にともない低下しますが、 水の熱伝導度は大きくなります。

表 2.液体の水の熱伝導度 k(飽和線上)
温度/°Ck/W m-1 K-1温度/°Ck/W m-1 K-1
0.010.561500.644
100.580600.654
200.598700.663
250.607800.670
300.615900.675
400.6311000.679
CRC Handbook of Physics and Chemistry 2012 によります。 表が 0.01 °C からになっているのは、 飽和線上のデータなので、水の三重点の温度です。

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