K 熱電対の起電力

K 熱電対（クロメル-アルメル熱電対、アルメル-クロメル熱電対、CA熱電対などとも）は、 ニッケルのクロム合金（+ 極）とアルミニウム合金（- 極）の間の熱起電力の差を利用して温度を測ります （K 熱電対に使われるクロメル chromel、アルメル alumel は、 Concept Alloys 社の商標になっています（元はホスキンス Hoskins 社））。

現在、規格化された熱電対の熱起電力は、 基準関数で表される規準熱起電力で定義されています （JIS C1602 : 2015。基となる国際規格は IEC 60584-1）。 JIS で規定された、摂氏温度 \(t\) における K 熱電対の熱起電力 \(E\) を与える基準関数は、 -270 °C から 1372 °C までをカバーし、次のようなものです。 式中 \(\tau = t/{}^\circ \mrm{C}\) としています。

\begin{equation} E / \mrm{\mu V} = \left \{ \begin{array}{ll} \sum\limits _{i = 1}^{10} {a_i \tau^i}, & -270 \lt \tau \le 0, \\ \sum\limits _{i = 0}^{9} {b_i \tau^i} + c_0 \exp \left[ {c_1 (\tau - 126.9686)^2 } \right], & 0 \lt \tau \lt 1372. \\ \end{array} \right. \label{eq:kemf} \end{equation}

ここで \(a_i\)、\(b_i\)、\(c_i\) は、JIS で定められている定数です（\(c_1 \lt 0\)）。 0 °C 以上の基準関数に、ガウス型の項が付加されているのは、 アルメルの磁気転移（キュリー点）が 150 °C 付近にあるためでしょう （アルメルは常温では磁石に付きますが（強磁性）、温度を上げると付かなくなります）。 下のフォームには Javascript で \eqref{eq:kemf} 式に基づいて、 熱起電力を計算するようにしてみました。 温度の欄に数値を入力し、「計算」ボタンを押すと、 その温度における熱起電力が表示されます。

ざっくり K 熱電対の熱起電力の全体像を眺められるように、表も示しておきます。