シャボン玉をふくらますのに力がいるように、 液体の表面には表面積を小さくするような力が働いており、 表面張力と呼びます。 液体に表面積 A を作るのに必要なエネルギー E とすると、 表面張力 γ は面積拡大にともなうエネルギーの増分、 γ = d E/d A で表されます。
表 1 に 25 °C、1 atm におけるさまざまな液体の表面張力をまとめておきます (CRC Handbook of Physics and Chemistry 2012 によります)。 多くの有機液体の表面張力は 20 ~ 30 mN m-1 程度ですが、 水はその数倍、水銀はケタ違いに大きな表面張力を持ちます。
物質 | γ/mN m-1 | 物質 | γ/mN m-1 |
---|---|---|---|
臭素 | 41.0 | アセトン | 22.7 |
水 | 72.0 | 酢酸エチル | 23.4 |
水銀 | 485.5 | シクロヘキサン | 24.2 |
ジエチルエーテル | 16.7 | クロロホルム | 26.7 |
ヘキサン | 17.9 | ジクロロメタン | 27.2 |
2-プロパノール | 20.9 | トルエン | 27.7 |
エタノール | 22.0 | アセトニトリル | 28.7 |
メタノール | 22.1 | ジメチルスルホキシド | 42.9 |
液体の表面張力は温度とともに低下します(臨界温度で 0 となります)。 表 2 には、実用的にも重要な、水の表面張力の温度依存性をまとめておきます。
温度/°C | γ/mN m-1 | 温度/°C | γ/mN m-1 |
---|---|---|---|
0.01 | 75.65 | 50 | 67.94 |
10 | 74.22 | 60 | 66.24 |
20 | 72.74 | 70 | 64.48 |
25 | 71.97 | 80 | 62.67 |
30 | 71.19 | 90 | 60.82 |
40 | 69.60 | 100 | 58.91 |