2022.10
吉村洋介
化学実験 資料編

種々の液体の表面張力

シャボン玉をふくらますのに力がいるように、 液体の表面には表面積を小さくするような力が働いており、 表面張力と呼びます。 液体に表面積 A を作るのに必要なエネルギー E とすると、 表面張力 γ は面積拡大にともなうエネルギーの増分、 γ = d E/d A で表されます。

1.種々の液体の表面張力

表 1 に 25 °C、1 atm におけるさまざまな液体の表面張力をまとめておきます (CRC Handbook of Physics and Chemistry 2012 によります)。 多くの有機液体の表面張力は 20 ~ 30 mN m-1 程度ですが、 水はその数倍、水銀はケタ違いに大きな表面張力を持ちます。

表 1.種々の液体の表面張力 γ(25 °C)
物質γ/mN m-1物質γ/mN m-1
臭素41.0 アセトン22.7
72.0酢酸エチル23.4
水銀485.5 シクロヘキサン24.2
ジエチルエーテル16.7 クロロホルム26.7
ヘキサン17.9 ジクロロメタン27.2
2-プロパノール20.9 トルエン27.7
エタノール22.0 アセトニトリル28.7
メタノール22.1 ジメチルスルホキシド42.9
CRC Handbook of Physics and Chemistry 2012 によります。

3.水の表面張力の温度依存性

液体の表面張力は温度とともに低下します(臨界温度で 0 となります)。 表 2 には、実用的にも重要な、水の表面張力の温度依存性をまとめておきます。

表 2.水の表面張力 γ の温度依存性(飽和線上)
温度/°Cγ/mN m-1温度/°Cγ/mN m-1
0.0175.655067.94
1074.226066.24
2072.747064.48
2571.978062.67
3071.199060.82
4069.6010058.91
CRC Handbook of Physics and Chemistry 2012 によります。 表が 0.01 °C からになっているのは、 飽和線上のデータなので、水の三重点の温度です。

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