0 から 40 °C の温度範囲での、水の密度を求めます。
温度: °C
kg m-3
同位体組成を平均的な海洋の水の同位体組成にあわせた水(SMOW = Standard Mean Ocean Water)の 1 atm(101.325 kPa)における 0 ~ 40 °C での密度 \(\rho\)の 2000 年時点での実験値を総括的に評価して得られた推奨値を、 温度 \(t\) の関数
\[ \rho = a_5 \left[ 1 - \frac{(t + a_1)^2 (t + a_2)}{a_3 (t + a_4)} \right] \]
に当てはめた計算値( M Tanaka et al, Metrologia, 38, 301 (2001) による)。 得られる値の不確かさはほぼ 1 × 10-6。 ここで \(a_1\)/°C = -3.983035 ± 0.00067、\(a_2\)/°C = 301.797、\(a_3\)/°C2 = 522528.9、\(a_4\)/°C = 69.34881、 \(a_5\)/(kg m-3) = 999.974950 ± 0.00084。 範囲外の温度(0 °C 以下、40 °C 以上)については、 赤字で表示するようにしてある。
実際に実験室等で得られる水の密度は、温度、圧力だけではなく、同位体組成、空気の溶解によっても変化する。 したがって百万分の 1、10-6 のオーダーまでの精度を得るには細心の検討が必要である。
一般に雨水や河川水等の水素同位体比(δD = [D]/[H])や酸素同位体比(δ18O = [18O]/[16O])は、 海水より小さく、δD が海水より 10 %程度小さいこともある (δD と δ18O の間には線形の関係が成立することが知られている。 「Craig の天水線」global meteoric water line)。 海水(SMOW)のδD ≈ 1/6420、δ18O ≈ 1/499 なので、 一般に水道水からイオン交換などして得られる水の密度は、数ppm のオーダーで小さくなっている。 このことを加味して、上記で得られる密度より比率にして 3 × 10-6 だけ小さい値を用いることも行われる。 また空気が溶け込むことで水の密度は少し小さくなる。 20 °C で空気で飽和した水の密度は、2.5 × 10-3 kg m-3 小さくなる。
なお気圧の変化による水の密度変化は、 10 hPa あたり約 5 × 10-7 であり、 高所や、強い高気圧・低気圧の下で、10-6 のオーダーの精度を期する分には考慮が必要になる。