last revised 2021.3 / 2021.2
吉村洋介
化学実験 予習チェック

5. 合金の分析(2)

クリックすると解答例が出る。

☆次の化学式の式量を記せ:
Ni:
Al:
C4H8N2O2(ジメチルグリオキシム):
Ni(C4H7N2O2)2
C4H6O6(酒石酸):

Ni:58.69
Al:26.98
C4H8N2O2(ジメチルグリオキシム):116.12
Ni(C4H7N2O2)2:288.90
C4H6O6(酒石酸):150.09

☆ニッケルの分析

○アルミニウムと酒石酸は1:2でキレートを作るものとする。 溶液中にアルミニウムが0.02 g溶けている時、 そのすべてをキレートにするには酒石酸溶液(25 w/v% = 0.25 g/mL)を 少なくとも何 mL は加える必要があるか。

必要な酒石酸(C4H6O6。MW 150.09)の物質量をn(酒石酸) とすると
0.02 g/(26.98 g mol-1) = n(酒石酸)/2
なので、酒石酸溶液は少なくとも [n(酒石酸) ×150.09 g/mol]/(0.25 g/mL) = 0.9 mL 必要。

○洋白中のニッケルの質量分率を20 %として、 試料溶液10 mL中に含まれるニッケルをすべてニッケルジメチルグリオキシムとするには、 少なくともジメチルグリオキシム溶液(1 w/v% = 10 g/L)何 mL が必要になるか。

ニッケルはジメチルグリオキシム H2dmg(H2C4H6N2O2。MW 116.12)2分子とキレートを作る
Ni2+ + 2Hdmg- → Ni(Hdmg)2
したがって試料溶液10 mL中のニッケルと反応するジメチルグリオキシムの物質量 n(H2dmg) は
(0.25 g×0.20/58.69 g mol-1)×(10 mL/100 mL) = n(H2dmg)/2
から求まり、少なくとも必要なジメチルグリオキシム溶液の量は
[n(H2dmg)×116.12 g mol]/(10 g/L) = 2.0 mL

〇テキストに従って行った次の実験のデータから、試料洋白中のニッケルの質量百分率を求めよ。

試料溶液を調製するのに用いた洋白 239.8 mg。 EDTA溶液濃度0.02016 mol/L。
塩化亜鉛ZnCl2溶液による空滴定値10.16 mL、 試料溶液滴定値6.68 mL。

塩化亜鉛溶液の濃度は空滴定の結果から次式より求まる:
[ZnCl2] ×10.16 mL = 0.02016 mol L-1×10.00 mL
試料溶液のニッケルの濃度[Ni] は、逆滴定を行っているので次式から
[Ni] × 10.00 mL = [ZnCl2] × (10.16 mL - 6.68 mL)
[Ni] = 6.91 mmol/Lと求まる。
はかり取った洋白試料中のニッケルの質量分率は
([Ni] × 58.69 g mol-1 × 100 mL)/239.8 mg = 0.169 = 16.9%

☆廃液

○EDTAで滴定を終えた廃液はどのように処理するか。

そのままD-2の廃液入れに入れる。


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