last revised 2021.3 / 2021.2
吉村洋介
化学実験 予習チェック

5. 合金の分析(3)

クリックすると解答例が出る。

☆次の化学式の式量を記せ:
Zn:
C9H7NO(オキシン):

Zn:65.38
C9H7NO(オキシン):145.16

 

☆亜鉛の分析

○テキストに従ってイオン交換クロマトグラフィーによる亜鉛の分離を行う際、 1つの試料についてカラムのコンディショニングから始めて何mLの 2 mol/L塩酸を必要とするか?

200 mL

○イオン交換クロマトグラフィーに使用するイオン交換樹脂IRA-400の交換容量は1.4 meq/mL(1 mLのIRA-400に1価のアニオンが0.0014 mol吸着される)とされている。 10 mLのIRA-400に吸着される亜鉛は最大何gと予想されるか([ZnCl4]2-として吸着されるものとする)。 また洋白中の亜鉛の含量を30 質量%として、試料溶液20 mL中に含まれる亜鉛の量と比較してどうか。

(1.4 mmol/mL×10 mL)/2 = (x/65.38 g mol-1) より、10 mLのIRA-400に亜鉛は最大 x = 0.46 g 吸着される。
また試料溶液 20 mL 中には (0.25 g×0.30) ×(20 mL/100 mL) = 0.015 g 程度の亜鉛が含まれるが、 これは最大吸着可能量の1/30である。

○洋白中の亜鉛の質量分率を30 %として、試料溶液20 mL中に含まれる亜鉛をすべてオキシン塩として沈殿させるには、 少なくともオキシン溶液(2.5 w/v% = 25 g/L)何 mL が必要だろうか。 また mgの亜鉛オキシン塩が生成するか。

試料溶液20 mL中の亜鉛をオキシン塩ZnOx2としてすべて沈殿させるのに必要なオキシン(HC9H6NO = HOx。MW 145.16)の物質量をn(HOx)とすると、
[(0.25 g×0.30) /65.38 g mol-1] ×(20 mL/100 mL) = n(HOx) /2
より n(HOx) = 0.46 mmol。 したがって必要なオキシン溶液は
[n(HOx)×145.16 g mol-1]/(25 g/L) = 2.7 mL
また生成する亜鉛のオキシン塩ZnOx2の質量は
[n(HOx)/2]×353.69 g mol-1 = 81 mg

〇テキストに従って、キレート滴定で亜鉛含量を調べた次の実験データから、 試料洋白中の亜鉛含量(mass%単位)を求めよ:

試料溶液調製に使用した洋白質量0.2415 g、溶離に使用した試料溶液量10.00 mL。
EDTA溶液濃度 0.01003 mol/L、試料溶液滴定値 9.15 mL

使用した洋白中の亜鉛の質量を x とすると
[(x /65.38 g mol-1)/100 mL] ×10.00 mL = 0.01003 mol L-1×9.15 mL
であるから x = 60.00 mg。
亜鉛の質量分率は 60.00 mg/0.2415 g = 24.8 %

☆廃液

○恒量に達した後、グラスフィルター上の亜鉛オキシン塩はどのように処理するか?

0.2 mol/L程度の温塩酸50 mL程度で洗浄して溶かし、洗液は廃棄物指針D-2に従って処理する。


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