2021.2
吉村洋介
化学実験 予習チェック

2A. 実験の基礎(1)

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☆電子天秤の使用法

○2人に1台の割合で提供されている電子天秤ASP402Fは最大何gまで、 またどれぐらいの精度(感度)ではかれるだろうか(資料編II-5参照)?

最大秤量:400 g 感量:0.01 g

○内径(内部の直径)が6 mmのガラス管に水を1 cm3入れたとする。 水柱の長さは何cmか。ガラス管の内径が8 mmではどうか。

V = S h cm → 1 cm3 = (π/4) (6 mm)2 h cm → h = (0.0354) (cm/mm)2 = 3.54
3.54 cm
内径8 mm なら h = 3.54×(6/8)2 = 1.99 で 1.99 cm

○空気中で31.46 gの鉛の板を17 °Cの水中に沈めた状態で重さをはかったら28.68 gであった。 この鉛の板の密度はいくらか?

31.46 g/[(31.46 - 28.68) g/0.999 g cm-3] = 11.31 g cm-3

☆統計的取扱いの初歩

○米国では今でも華氏温度(°Fで表わす)が用いられる。 TF °Fに対応する摂氏温度TC °C は TC = (TF - 32) × 5/9 で与えられる。 ある部屋の気温の1日の平均が77 °F、標準偏差が9 °Fであったとすると、 これを摂氏温度で表わすと平均・標準偏差はそれぞれ何°Cに相当するか?

y = ax + bならば ⟨y⟩ = a ⟨x⟩ + b、σy = a σx が成立するので
平均 (77 - 32) × 5/9 °C = 25 °C、標準偏差 9× 5/9 °C = 5 °C

○パチンコ玉1個の重さはおよそ5.5 gで標準偏差は0.005 g程度である。 パチンコ玉100個の重さはおよそ550 g。100個の重さの標準偏差はいかほどか?

それぞれ独立なランダム変数の和なので100個の重さの標準偏差は1個の重さの標準偏差の\(\sqrt{100}\) = 10倍になる:
0.05 g

○製造年月日の違うマカロニAとBについてそれぞれ30本の重さを1本ずつはかったところ、 Aの平均は0.915 g、Bは0.883 gだったという。 AとBで重さの標準偏差は0.030 gで同じだとして、AとBのマカロニの平均の重さに差異があると見なせるかどうか、 マカロニの重さの分布が正規分布に従うものとして判定せよ(有意水準5 %としよう。資料編III-5参照)。

30本の重さの平均の標準偏差は0.030/\(\sqrt{30}\) g = 0.0055 g。
もしAとBの重さの平均が等しいなら、平均の差の標準偏差は0.0055 × \(\sqrt{2}\) g = 0.0078 g。
|0.915 - 0.883|/0.0078 = 4.1 > 1.96 なので有意水準5 %で差異があると見なせる。


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