2021.2
吉村洋介
化学実験 予習チェック

2. 実験の基礎(2)

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☆次の化学式の式量を記せ

NaOH   NaHCO3
NH4Cl  HCl
NH3 Na2CO3·NaHCO3·2H2O
Na2SO4 C4H8O (THF)

NaOH:40.00NaHCO3:84.01
NH4Cl:53.49 HCl:36.46
NH3:17.03 Na2CO3·NaHCO3·2H2O:226.03
Na2SO4:142.04 C4H8O:72.11

☆温度測定・加熱操作

○硫酸ナトリウム十水塩 Na2SO4·10H2O、 THF の水との包摂化合物 C4H8O·17H2O、それぞれの物質中の水の質量分率は何 %か。

硫酸ナトリウム十水塩中の水の質量分率は 55.9 %、 THF の水との包摂化合物中の水の質量分率は 80.9 %、。

○0 °C から200 °C まで測れるガラス温度計がある。 この温度計の細管中の液体の液面は、温度計全体をt °C に保った時に、正しくt °C の目盛りの位置に来るように作られている。
この温度計に入っている液体の膨張率を1.00 × 10-3 K-1 とし、 目盛りの0 °C の位置まで t °C、それより上部は外気に冷やされて20 °Cに保たれているとする。 t = 100 であれば細管中の液面は何 °C の目盛りの位置に来るだろうか? また t = 200 であればどうか。

t = 100 の時、温度計全体が 100 °C であれば、100 °C の目盛りまで来る。 100 - 20 = 80 °C 温度が下がると、8 % 液体は収縮するので、温度計の示度は 92 °C になる。
t = 200 の時は同様にして、温度計の示度は164 °C になる。
(温度差が180 °Cと大きくなれば、熱膨張を ΔV = 1.00 × 10-3 V0 (t - t0) といった線形化した式で表現するのは無理があるが、 ここはアバウトで行きましょう!)

○温度を90 °Cに保ったプレートの上に水の入ったビーカーを置いたら、 ビーカー内の水温は50 °Cでほぼ一定になったという。 ビーカー内の水温を70 °Cにするには、 プレートの温度を何°Cにする必要があるか? 室温を20 °Cとする。

ニュートンの冷却則からkX(90 - 50) = kY(50 - 20)。
水温70 °Cの時の鉄板の温度がT °CならkX(T - 70) = kY(70 - 20)より
T = 70 + (4/3)×(70 - 20) = 137。140 °C程度にすればよい

☆pHなど

○6 mol/L塩酸を希釈して1 mol/L塩酸100 mLを調製したい。何mLの塩酸が必要か?またそれは何gか?(資料編V-11参照)

6 mol/L塩酸は100/6 = 17 mL必要。6 mol/L塩酸の密度は1.10 g cm-3なので、18 g。

○100 mLのイオン交換水に1 mol/L塩酸を1滴加えかき混ぜたら、およそ何mol/Lの塩酸になるか?またpHはいかほどか?

1滴は約0.05 mL。1 mol/L × (0.05/100) = 5×10-4 mol/L
pH 3.3

○次の溶液のpHはどの程度と予想されるか?(炭酸の酸解離定数は資料編V-15参照)
0.1 mol/L塩酸:
0.01 mol/L水酸化ナトリウム溶液:
0.03 mol/L炭酸溶液:
0.05 mol/Lトロナ(Na2CO3·NaHCO3·2H2O)溶液:

0.1 mol/L塩酸:pH 1
0.01 mol/L水酸化ナトリウム溶液:pH 12
0.03 mol/L炭酸溶液:0.5×(pKa - log 0.03) = 0.5×(6.35 + 1.52) = 3.94
(二酸化炭素分圧1 atmでの飽和濃度相当)
0.05 mol/Lトロナ(Na2CO3·NaHCO3·2H2O)溶液:pH 10.3

○塩酸にセスキ炭酸ナトリウム(トロナ)を加えると二酸化炭素が発生する。 この反応の化学反応方程式を記せ。 またその式に従えば1 mol/L塩酸50 mLに何gのセスキ炭酸ナトリウムを加えたら、 二酸化炭素の発生が止むことになるか?

Na2CO3·NaHCO3·2H2O + 3HCl → 3NaCl + 2CO2 + 4H2O
x g / 226.0 = (1 mol/L ×50 mL)/3 より、3.77 g


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