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☆次の物質の分子量を記せ:
酢酸 CH3COOH:
酢酸 CH3COOH:60.05
○細いチューブでつながれた2つの容器A、Bに 0.5 mol/L の塩酸を 1 L ずつ入れ、白金電極を用いてAをアノード(陽極)にして電気分解を行った。 水素イオンの電気伝導度が塩化物イオンの電気伝導度の5倍であり、アノードでは塩素のみが発生するものとする。 水素H2が 0.05 mol 生成した時点で、容器A、B内の塩酸の量はそれぞれ何 mol 変化していることになるか? AB間の塩化水素の移動についてイオンの電気伝導以外の効果は無視する。
AへのCl-イオンの流入量をx、BへのH+イオンの流入量をyとすると、
x + y = 0.10 mol
でH+イオンはCl-イオンの5倍の移動度を持つので
y = 5x
より
x = 0.017 mol
ΔA(HCl) = ΔA(Cl-)
= ΔA(H+) = -y = -0.083 mol
ΔB(HCl) = ΔB(Cl-)
= ΔB(H+) = = -x = -0.017 mol
○酢酸のpKaを4.8とする。濃度0.01 mol/L、1 × 10-4 mol/L、 1 × 10-6 mol/Lの酢酸溶液のpHを求めよ。
考える酢酸濃度cでは、[H+] = xとしてよい近似で(c - x)Ka = x2が成立 。
計算されるpHは3.4(c = 0.01 mol/L)、4.5(c = 1 × 10-4 mol/L)、6.0(c = 1 × 10-6 mol/L)
>-----------------------------------<
折り目正しくは
(c - [H+] + [OH-])Ka = [H+]([H+] - [OH-])
という式を得ることができる。
ここで[H+]が[OH-]に比べて十分大きいとみなして
(c - [H+])Ka = [H+]2。
さらに c が [H+] より十分大きいと見なすことができれば
Ka c = [H+]2
つまり
2pH = pKa - log c
というよく知られた式が得られる。
○pH滴定から酢酸のpKaが4.72と求められたものとする。 0.106 mol/Lの酢酸溶液と0.097 mol/Lの酢酸カリウム溶液、それぞれ何mLをとって混合すれば、pH 5の溶液100 mL得ることができるか?
Henderson-Hasselbalchの式から
\[
\mrm{pH} = \mrm{pK_a} + \log \frac{c_\mrm{AcOK} V_\mrm{AcOK}}{c_\mrm{AcOH} V_\mrm{AcOH}}
\]
より\(V_\mrm{AcOK}/V_\mrm{AcOH} = 2.08\)。
\(V_\mrm{AcOK} + V_\mrm{AcOK} = 100 ~\mrm{mL}\)なので
\(V_\mrm{AcOK} = 67.6~\mrm{mL}\)、\(V_\mrm{AcOH} = 32.4~\mrm{mL}\)。
○Henderson-Hasselbalchの式が成り立つものとして、0.020 mol/L酢酸溶液100 mLに0.20 mol/L水酸化ナトリウム溶液を滴下する時、 溶液のpHを水酸化ナトリウム溶液の滴下量 x で微分したものの逆数d x/d pHがxの2次関数になることを示せ。 また水酸化ナトリウム溶液7.0 mLを加えた溶液の(微分)緩衝能V-1 d m/d pHを求めよ。ここでVは溶液の体積、mは加える水酸化ナトリウムの物質量(モル数)。
水酸化ナトリウム溶液濃度を\(c\)、元の酢酸溶液の体積を\(V_0\)、濃度を\(c_\mrm{a}\)とするとH-H式は
\[\mrm{pH} = \mrm{pK_a} + \log \frac{c x}{c_\mrm{a} V_0 - c x}\]
と書き表すことができる。
\(c x\)についての微分をとると
\[\frac{\mrm{d pH}}{\rmd c x} = \log \mrm{e} \left(\frac{1}{c x} + \frac{1}{c_\mrm{a} V_0 - c x} \right)\]
より
\[
\frac{\rmd x}{\mrm{d pH}} = \ln 10 \frac{x (c_\mrm{a} V_0 - c x)}{c_\mrm{a} V_0}
\]
\(x = c_\mrm{a} V_0/2c\) に極大値\(\ln 10 ~c_\mrm{a} V_0/4c\)を持つ2次曲線となる。
また\(x\) = 7.0 mLでの緩衝能は
\[
\frac{1}{V_0 + x} \frac{\rmd cx}{\mrm{d pH}} = \ln 10 \frac{c x (c_\mrm{a} V_0 - cx)}{(V_0 + x) (c_\mrm{a} V_0)} = ~\mrm{9.0 \times 10^{-3} ~mol/L}
\]
ちなみに最大の緩衝能は \(x = c_\mrm{a} V_0/2c =\) 5 mLで、
\(V_0 + x \approx V_0\) とすると、ln 10 \(c_a/4\) = 0.0115 mol/L