5.黒色火薬は炭素CとイオウSと硝石(硝酸カリウム)KNO3 の混合物であると見なせる。 黒色火薬が爆発する時さまざまな物質が生成するが、通常の爆発の際の主生成物質は硫化カリウムK2Sと窒素N2と二酸化炭素CO2であるという。 この爆発の際の黒色火薬の反応方程式を書け。またその量論を満たすように過不足なく炭素、イオウ、硝石を混合した時 (もっとも燃焼速度・威力が大きくなる配合とされる)の質量比を求めよ 。
軍用火薬として用いられていた黒色火薬の組成として、硝石75:イオウ10:炭15の比率がよく知られている(英国・ロシア・米国等)。 これはまた古くから「一硝二硫三木炭」(1斤(=16両)の硝石、2両の硫黄、3両の木炭。 斤・両は尺貫法における重さの単位)と言い慣わされた組成でもある。
反応方程式は次のようになる
2KNO3 + S + 3C → K2S + N2 + 3CO2
化学種 X の物質量を[X] その変化量を Δ[X] と表記すれば、 この反応の反応進行度 z は、次のように書ける:
-z = Δ[KNO3]/2 = Δ[S] = Δ[C]/3
過不足なく反応するというのは、 反応完結時に出発物質がすべてなくなっていることだから、 仕込みの物質量 [X]0、および質量 w0(X) の間には、 式量を FW(X) として次の関係が成立する。
[KNO3]0/2 = [S]0 = [C]0/3
w0(KNO3)/[2 × FW(KNO3)]
= w0(S)/FW(S)
= w0(C)/[3 × FW(C)]
FW(KNO3) = 101.10、 FW(S) = 32.06、FW(C) = 12.01 より
w0(KNO3) : w0(S) : w0(C) = 74.8 : 11.9 : 13.3