2020.4
吉村洋介
化学実験法II 問題集 統計・検定・不確かさ 解説
問 12
12.[2017 年度の問題] K大学の学生実験室では、常備している70本のホールピペットが年間8本ぐらいのペースで破損し適宜補充しているという。
ホールピペットの寿命についての次のSくんと無能の昭和老人YYの会話について に適切な式・数値を入れよ。
- YY: 1993年以前はホールピペットに検定証印( 。1992年改正前の計量法では、ホールピペットは国の検定を受けていた)が付いていたが、
93年以降なくなった。毎年8本ずつ消えていったとして、2003年ごろにはなくなったわけだね。
- S: 話が違うよね。毎年全体のa = 8/70ずつ消えていくということは、
毎年全体の (1 - a) だけ残っているということだから、t 年後には イ 残っていることになる。
指数関数で近似すれば ロ だ。
23 年たった今でも、70本の内 5本ぐらいには検定証印が残ってるんじゃないかな。
- YY: 言われてみると見た気がするね。
ところで生き残ってるのが ロ だとすると、ピペットの平均寿命は、ちょうど半分壊れるころ ロ = 0.5だから 6 年ぐらいということだね。
- S: それはメディアン(中央値)だよ。t 年目に壊れる確率は ハ で与えられるから、平均寿命は ニ 年ぐらいじゃないかな。
解答例
12
一定割合ずつ消えていくわけだから、\(t\) 年後には \((1 - a)^t\) だけ残っている。
指数関数で近似すれば \(\exp(-at)\) 。
【イ、ロ】
\(t\) 年目に壊れる確率は、\(t\) 年まで残っていて\(t\) 年目に壊れるわけだから \(a \exp(-at)\) 。
平均寿命は\(\int t a \exp(-at) \rmd~t = 1/a\) で、約70/8 = 9 年。
【ハ、ニ】
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