2020.4
吉村洋介
化学実験法II 問題集 輸送現象 解説

問 7

7.沸騰熱伝導において、極大熱流束(限界熱流束critical heat flux)を推算する式として次のZuberの式はよく知られている:

\[ q_{\rm{max}} = C_{\rm{KZ}} \Delta_{\rm{vap}}H \rho_{\rm{V}} \left[ \frac{\sigma g (\rho_{\rm{L}} - \rho_{\rm{V}})}{\rho_{\rm{V}}^2} \right]^{1/4} \]

ここで σ は表面張力、g は重力加速度、ΔvapH は蒸発のエンタルピー変化、 ρL、ρVはそれぞれ液体、蒸気の密度であり、 CKZ は定数でここでは0.15とする。Zuberの式を用いて次の問いに答えよ。

7-1.水の沸騰熱伝導における極大熱流束はいくらになるか推算せよ。 沸点における ΔvapH = 2.3 kJ/g、σ = 60 mN/m、 ρL = 960 kg m-3、ρV = 0.60 kg m-3とする。

7-2.円筒形の容器の底面(面積300 cm2)をバーナーで加熱して蒸気を発生させる時、 1秒当たり最大何 g の水蒸気を発生させることができるか推定せよ。


解答例

7-1.

値を与式に代入して

qmax = 0.15 × 2.3×106 × 0.601/2 × [0.060 × 9.8 × 960]1/4 W m-2
= 1.30×106 W m-2

7-2.

Q = 1.30 × 106 W m-2 × 300×10-4 m2 = 3.9×104 W

3.9×104 W / (2.3 × 103 J/g) = 17 g/s の水が蒸発。

これは水1 L/min、水蒸気1.7 m3/minに相当。


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