8.内径15 mmの試験管の中に、試験管の口から 5 cmのところまで水を入れ、試験管立てに立てて20 °Cの乾燥した部屋の中に置いた。 放置して定常状態になった時、水の蒸発による試験管中の水面の低下速度はどれくらいになるだろうか? 空気と水蒸気の拡散係数を3×10-5 m2 s-1、水蒸気圧2.3 kPaとする。
定常状態での水蒸気の流束を J kg m-2 s-1とすると、 水の流出量は試験管の断面積を S m2として、S J kg s-1である。 一方水面の低下速度を v m s-1とすると水の密度を1000 kg m-3(= 1.0 g cm-3)として 流出量は 1000 S v kg s-1なので、S J = 1000 S vより、 J = 1000 vが成り立つ。 水の濃度は P/RT = 2.3×103/(8.31×293) mol/m3 = 0.94 mol/m3 = 17 g/m3
水蒸気の流束についてはフィックの法則から
\[ {\rm{J ~kg~m^{-2}~s^{-1}}} = D \rm{\frac{0~-~17~g~m^{-3}}{5~cm} = 3 \times 10^{-5} ~m^2~s^{-1}~\frac{0.017~kg~m^{-3}}{0.05~m}\\ = 1.0 \times 10^{-5}~kg~m^{-2}~s^{-1}} \]
したがって水面の低下速度は (J/1000) m s-1 = 1.0×10-8 m s-1。 1日で 0.9 mm 程度の水面の低下が起きる程度ということになる。