\[ v(a) = \frac{\Delta\rho g}{18 \eta} a^2 = k a^2 ~~~ \mbox{(a)} \]
ここで \(\Delta\rho\) は炭酸カルシウムと水の密度差、\(g\) は重力加速度、\(\eta\) は水の粘度であり、\(k = \Delta\rho g/18 \eta\) とした。 最初炭酸カルシウム粒子が均一に分散しているなら、炭酸カルシウムの沈降による天秤の示す重さ \(w(t)\) の増加速度は次式で与えられる:\[ \frac{\rmd w(t)}{\rmd t} = \frac{w_0}{h} \int_0^{a(t)} {v(a) f(a) \rmd a} ~~~ \mbox{(b)} \]
ここで \(w_0\) は最終的な増量 \(w(\infty)\)、\(f(a)\) は粒径 \(a\) の粒子の質量分布関数である。 また \(a(t)\) は時刻tで沈降が終了する粒子の直径で \(v(a(t)) t = h\) の関係から定まる。したがって\[ \frac{\rmd^2 w(t)}{\rmd t^2} = \frac{w_0}{h} \frac{\rmd a(t)}{\rmd t} v(a(t)) f(a(t)) ~~~ \mbox{(c)} \]
天秤の示す重さの変化が図のように得られたとすると、時刻 \(t\) における接線の切片の値 \(b(t)\) の時間変化は次式で与えられる:\[ \frac{\rmd b(t)}{\rmd t} = -\frac{t}{w_0} \frac{\rmd^2 w(t)}{\rmd t^2} = \frac{\rmd a(t)}{\rmd t} f(a(t)) ~~~ \mbox{(d)} \]
したがって次式のように時刻 \(t_1\)、\(t_2\) における切片の値から、粒径 \(a(t_1)\) と \(a(t_2)\) の間の粒子の割合が評価できることになる:\[ b(t_2) - b(t_1) = -\int_{t_1}^{t_2} {\frac{\rmd a(t)}{\rmd t} f(a(t)) \rmd t} = \int_{a(t_2)}^{a(t_1)} {f(a) \rmd a} ~~~ \mbox{(e)} \]
12-1.(d)式が成立することを、無能の昭和老人 Y にもわかるように説明せよ。
12-2.沈降深さ \(h\) を30 cmとして実験を行い、図2の結果を得た。\(w(t)/w_0\) の切片の値 \(b(t)\) は、\(b(\rm{20 min) = 0.42}\)、\(b(\rm{40 min) = 0.69}\) であったという。 粒子の質量の累積分布 がちょうど 0.5 となる粒径 \(a_{50}\) はいくらか推定せよ。 またこの炭酸カルシウムがすべて粒径 \(a_{50}\) の粒子からなっているとすると、 1 gの炭酸カルシウムには何個の粒子が入っていることになるか? 炭酸カルシウムの密度を 2.7 g cm-3、水の密度を1.0 g cm-3、 水の粘度を1.0 mPa s、重力加速度を9.8 m s-2とする。
\[ w(t) = w_0 b(t) + t \frac{\rmd w(t)}{\rmd t} \]
より
\[ w_0 \frac{\rmd b(t)}{\rmd t} = \frac{\rmd w(t)}{\rmd t} - \left( \frac{\rmd w(t)}{\rmd t} + t \frac{\rmd^2 w(t)}{\rmd t^2} \right) = t \frac{\rmd^2 w(t)}{\rmd t^2} \]
(b) 式と \(h = v(a(t)) t\) に注意して
\[ \frac{\rmd b(t)}{\rmd t} = -\frac{t}{w_0} \frac{\rmd^2 w(t)}{\rmd t^2} = -\frac{t}{h} \frac{\rmd a(t)}{\rmd t} v(a(t)) f(a(t)) = -\frac{t v(a(t))}{h} \frac{\rmd a(t)}{\rmd t} f(a(t)) = -\frac{\rmd a(t)}{\rmd t} f(a(t)) \]
\[ k = \frac{\Delta\rho g}{18 \eta} = \rm{ \frac{(2700~-~1000) \times 9.8}{18 \times 1.0 \times 10^{-3}} ~m^{-1}~s^{-1} = 9.26 \times 10^5 ~m^{-1}~s^{-1} } \]
\(k a^2 t = h\) だから、\(a(t)\) は \(t\) の関数として
\[ a(t) = \sqrt \frac{h}{kt} = 5.69 \times 10^{-4}~ t^{-1/2} ~ \rm{s^{1/2} ~m} \]
a(20 min) = 16.4 μm、a(40 min) = 11.6 μm であり、 累積分布F(16.4 μm) =1 - 0.42 = 0.58、F(11.6 μm) = 1 - 0.69 = 0.31ということになる。 累積分布 0.5 近傍では粒径に比例して累積分布が増加していくと期待して、
\[ a_{50} / \rm{\mu m} = \frac{(0.58~-~0.50) \times 11.6~ +~(0.50~-~0.31) \times 16.4}{0.58~-~0.31)} = 15.0 \]
このサイズの粒子の重さは
\[ \frac{\pi}{6} a_{50}^3 \rho = \rm{ \frac{\pi}{6} (15 \times 10^{-6})^3 \times 2700~ kg = 4.8 \times 10^{-12}~ kg = 4.8~ ng } \]
1 g 中に含まれる粒子数としては
(1 g)/(4.8 × 10-9 g) = 2.1 × 108