第6回京都高圧物理化学フォーラム(1994.1.8)
はじめに
WEB 公開 2006.9.28.

第6回京都高圧物理化学フォーラム

はじめに

従来から高圧物理化学の分野で、液体の種々の物性を、液体構造の観点から理解しようとする試みが、さかんに行われてきました。 しかしその多くは、あまりに直観的なものに留まり、物性と構造の関わりを物理化学的な基礎の上に、系統だて、定量的に記述する作業はまだ初歩的な段階にあります。

今回の高圧物理化学フォーラムでは、この液体の構造と物性の関わりに取材し、 液体の構造を語る上でもっとも基本的な量である構造因子について、またこの液体の構造と物性の関わりがよく検討されている分野である液体金属について、 それぞれ専門の先生からお話しいただきました。

三沢先生は、中性子回析を用いた種々の物質の構造研究を手掛けておられ、 単純液体に止まらず、われわれ物理化学者にとってなじみの深い、 ベンゼン・四塩化炭素などの分子性液体についても種々の実験的・理論的な検討をしておられます。 また八尾先生は、気液の幅広い領域にわたって、金属液体の非金属-金属転移など興味深い現象の起源を、 さまざまな角度から研究してこられました。 先生方のお話は、そうした先生方の研究の厚みを感じさせる、手応えの確かなものでした。 けれども、われわれになじみのない分野で、また世話人の不手際もあって、十分噛み合った議論ができなかった憾みがあります。 このフォーラムのまとめを作成するにあたっては、このことに特に留意し、「読めばわかる」ことを第一に、言葉を補ったり、解説を加えたりしました。 今後われわれの分野で、液体の構造と物性の関りを、さらに深く理解する試みの一助となることを期待します。

最後になりましたが、共催に応じていただきました、日本物理化学研究会と高圧データ研究会の関係者に厚く感謝の意を表します。

1994年3月30日
第6回京都高圧物理化学フォーラム世話人
吉村 洋介(京大理)

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