先週の土曜日、午前中は定員外職員の学習会、午後は独立行政法人化問題のシンポジウムと、充実した企画が放たれました。定員外職員の学習会では、理学部のお隣、農学部の事務一元化の動きについて、野田さんが農学部支部の行ったアンケート結果をもとに、縦横に辛口の分析をされました。午後からのシンポジウムでは、理学部・文学部、京大の“虚学”、もっとも学問的な部分を代表する部局からパネリストを得て、熱っぽい大学論が展開されました。この2大企画に深く関わった理学部支部の方々から、まだ熱冷めやらぬ文章をいただいています。
職員組合主催の独立行政法人化を考えるシンポジウムが、10月16日(土)2時から5時まで文学部新館第3講義室で行われました。シンポジウムはパネル討論形式で行われ、パネラーは理系から丸山 正樹先生(理学研究科教授)、文系から柏倉 康夫先生(文学研究科教授)、事務職員からは組合書記長をされたこともある石田 茂光氏(霊長類研究所庶務掛長)でした。
シンポは、坂本宏委員長のコーディネートのもとに、「今頃のんびりとシンポジウムを開いている時期ではない」と指摘されながらも、総勢131名の参加者を得ました。組合主催のシンポとしては珍しく、学生・院生25名の参加がありました。独法化が、学生、教官、事務職員と広い分野にわたる問題であること、また、「国家百年の計」に匹敵する問題でありながら、教育研究関連分野の裾野の議論を吸い上げるでもなく、トップダウン方式であまりにも拙速に、経済問題としてのみ処理しようとしている政府の姿勢が、これだけの人達を会場に向かわせたと考えられます。
丸山先生からは、文部省の提案する通則法+特例措置のもとではなく、国立大学が教育基本法をきちんと守ることができ、文部省からの干渉のない、独自な形態の“法人化”をする他の運営形態を提案していくべきだと述べられました。先生は、京大の設置形態検討会の委員をされており、理念論をきちんと論ずるべきだと主張されています。
柏倉先生は、ヨーロッパの教育形態を広く引用されながら、現在提案されているように、教育・研究の分野に市場原理を導入すれば、学生にとっては学ぶ権利の保障がなくなる。また研究者にとっては研究業績を短期間で評価されるということは不可能なことであり、特に文系の分野での評価は難しいといった点が指摘されました。そして通則法の基での独法化を阻止するには、税金を納めている人達のこの問題に対する広い理解と支持が必要であるといったことを強く主張されました。
石田さんからは、独法化についての、特に事務職員に対する情報不足が指摘され、事務組織の一元化や定員削減と相まった問題の複雑さ、法人化された場合の事務量の増大、事務職員育成の場のなさが指摘されました。
これらのパネラーの発言に対して、会場からは、学生、職員、非常勤職員、研究者の方々から広く質疑応答がなされ、このシンポをきっかけとして早急に、学内外に広く反対運動を展開していかなければならないことが、参加者一人一人の意志となったことと確信します。
以上は、京大職組のホームページにも載せたシンポジウムの報告です。私個人の感想としては、会場からの発言者とパネラーのかみ合いが少し足りなかったように思いました。また、参加者は多分京大当局が何を考えているのか全く知らされていない状況で、パネラーの方々の発言の中で、その片鱗にでも触れて欲しかったのではないかと思います(19日に組合と総長の懇談会がありましたが、総長からはあまりはっきりとした意見が聞けなかったようです)。今後、税金を納めている人達に「法人化」が何を目ろんでいるかを理解して貰い、我々の反対運動を納得してもらうには、どのような運動を展開してくのが一番良いかを考えていく段階にきていると思います。その運動の展開の一つとして、シンポでも配布されました全大教の署名活動を位置づけて取り組んでいきたいと考えます。また、組合員の皆さんの提案・ご意見を、この「いちょう」にもどしどし書いて欲しいと思っています。