以下のおはなしは、2011年10月27日に工学研究科の院生の皆さんむけに行った「統合材料科学」の講義の内容を再構成したものです
(講義の際には1次元流体の話にも触れたのですが、
以前紹介したことのある話題でもあるのでここでは割愛します)。
この「統合材料科学」は担当教員が持ち回りで行うオムニバス形式の講義で、
ぼくは「液体の統計力学」という、きわめて漠然としたタイトルで話をすることになりました。
何をお話すればよいのか、直前まであれこれ悩んだ挙句、
専門外の学生さんによくある誤解に焦点を当てる形で話を構成しました。
何かの参考になれば幸いです。
「液体の統計力学」というと、人によっては液体ヘリウムなどの低温物理や電子系のフェルミ液体の話を思い浮かべるかもしれません。
ここではあくまで水や石油、アルコールなど、身近にありふれた液体の話をします。
そうしたありふれた液体の統計力学というのは、いったいどんな問題を扱うのか、そして困難はどこにあるのか、
そういった液体の統計力学という分野のすがたを、少しでも身近に感じていただければ幸いです。