以下は「分析実験の基礎」の中の数値データの統計的な取り扱いに関わって、準備した(結局使わなかった)プリントを整理・加筆したものです。
「分析実験の基礎」の課題の中で、数値データの統計的な取り扱いについて理解してもらいたいことを標語として並べると、次のようになるでしょう
以前はこうした標語について、あまり確率・統計についての背景を説明することなしに説明して、それなりに分かってもらえるように感じていました。 そうした手ごたえが、新しい学習指導要領の世代に入ってから急速に失われてきました。 「偏差値は知っていても、標準偏差は知らない世代」とでもいうのでしょうか。 ここで紹介するのは、そうした世代向けに、できるだけ実践的でかつ理学部生の詮索好きな空気にマッチした、 統計についての話を構成する試みです。
後でも繰り返し出てくるんですが、お話を始める前に、 ここでは「正確さ」の「正確さ」、あるいは「もっともらしさ」の「もっともらしさ」を問題にするということを強調しておきます。 統計量についても、「7 回の測定値の平均の平均」、「7 回の測定値の平均の標準偏差」、 「7 回の測定値の標準偏差の標準偏差」 といったものを問題にしようというわけです。 ここのところをお忘れなく・・・
ここでは「数値データ」を取り扱うわけですが、扱うのは「数値データ」といっても「数量データ」です。 “名義デ-タ (nominal data)” (いわば ID ナンバーのようなもの。「吉村」や「仏さま」といったことばと置き換えてもよい種類のもの)、 “順序デ-タ (ordinal data)” (大小関係を表すだけのもの。「-25 = 大嫌い」「-10 = 嫌い」「10 = 好き」「30 = 大好き」といったもの)、 は考えません。