2020.5
吉村洋介
2 . 実験の基礎

2-2 粒状・粉状体の特徴と粒子の統計的取り扱い

2-2-1 粒状物質の嵩密度と真密度

<概要>

粒状体を均一な密度を持つ粒子(質量密度を ρ とする)と空隙(密度を0とする)からできていると見なそう。 粒状体の体積を V、その中の空隙の占める体積を Vv とすると、 粒状体の総体としての密度(嵩密度 bulk density)は ρ(V - Vv)/V で表される。 ここで(V - Vv)/V は充填率 packing fraction、Vv/Vは空隙率 void fractionと呼ばれ1、 密度 ρ は真密度 true density と呼ばれることが多い 。 ここでは PE ペレット(1粒の重さの平均約15 mg、標準偏差約1.7 mg)を用いて、どのような挙動が現れるか調べる。

1 空隙率には粒子間と器壁と粒子の間の空隙を分けて考えたり、粒子内部の細孔等の存在を考慮したりするなど、 詳細には種々の取り扱いがあり、空隙率を気孔率 porosity と呼ぶ分野もある。 なお今回扱うPEペレットでは問題にならないが、粒子内部の細孔等の存在を考慮して、粒子の密度を取り扱う向きもある。

<操作>

  1. 用意されているPEペレットを25 g程度、0.01 gまで精確にはかり、 100 mLのメスシリンダーを少し傾けて静かに流し込み、容量を読み取る。
  2. メスシリンダーを軽くトントンしたりして、ペレットの嵩がどこまで減るか試みよ。 もっとも嵩低くなった時の容量を読み取る。
  3. メスシリンダーからPEペレットを取り出し、エタノールを25 mL程度入れて0.1 mLまで精確に容積を読み取る。
  4. 取り出したPEペレットを気泡が付かないように注意しながらメスシリンダーに入れ、 エタノールの容積の増加量を0.1 mLまで精確に読み取る。

<検討>

  1. PEペレットの真密度と、嵩密度の最大値を求めよ。
  2. PEペレットの空隙率は最小、最大それぞれいかほどか求めよ。

<検討課題>

  1. PEペレットを勢いよくメスシリンダーに流し込んだ時と、上記操作のように静かに流し込んだ時とで、 どちらの嵩密度がどれくらい大きいだろうか。
  2. 用意してあるBB弾を用いて嵩密度をはかり、PEペレットの場合と比較せよ。 BB弾については粒ぞろいでかつほぼ真球と見なせるので、 BB弾の直径をノギスではかって真密度を求めてもよい。


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