<操作>
- 10 mLのメスフラスコ*1に鉄の標準溶液を所定量((5)に記すようにそれぞれ0.0、1.0、2.0、3.0、4.0 mL)メスピペットを用いて精確にとる。
- 6 mol/L塩酸0.4 mLを加えた後、塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液0.1 mLを加えて振り混ぜる*2。
- 1,10-フェナントロリン溶液0.5 mLと酢酸アンモニウム緩衝溶液1 mLを加える*3。
- イオン交換水を加えて精確に10 mLにし、調製した溶液を20 mLのサンプル管に保存する。
図8-2. 調製した較正溶液。左から鉄濃度0.0、1.0、2.0、3.0、4.0 µg/mL
- (1)~(4)の操作を、鉄の標準溶液0.0、1.0、2.0、3.0、4.0 mLについて行い、5種の較正溶液を準備する。
- 5本のポリスチレン(あるいはPMMA(ポリメタクリル酸メチル))製の1 cm角の光学セルにそれぞれの較正溶液を取り、
イオン交換水をリファレンス(参照)にして、510 nm付近での吸光度を測定する
(後で比色法に用いるので、溶液は捨てずに光学セルに入れたままにしておく)。
- 鉄を加えない場合の吸光度(0.0 mLのもの)を差し引いた後*4、
吸光度を鉄の濃度に対してプロットし、直線関係が成り立っていることを確かめる。
*1 何らかの原因で汚染されている場合があるので、使用に先立って6 mol/L塩酸を少量用いて洗浄しておくのが望ましい。
*2 ヒドロキシルアミンを加えないと、標準溶液中の鉄(II)が空気酸化を受けて鉄(III)になっていた場合、負の偏差を生じる。この鉄(II)と鉄(III)に対する選択性を用いて試料中の鉄(II)と鉄(III)の比率を求めることもできる。
*3 1,10-フェナントロリンは酸性条件では酸型になり鉄と錯体を作らなくなるので、pHの設定(pH 3~9)には注意が必要である。
*4 わずかながら1,10-フェナントロリンは510 nmに吸収を示すので、鉄を入れない場合の吸光度を差し引く必要がある。なお鉄を入れていない溶液をリファレンス溶液にすることもできる。
<検討>
- 色の濃さが鉄の濃度の順になっていることを視認して確認せよ。
なっていない場合にはメスフラスコ等の器具の汚染が疑われるので、器具を洗浄するなどして溶液の再調製を行う。
- 加えたフェナントロリンの量から考えて、この実験条件で最大どの程度の鉄濃度まで測定可能か。またその時の吸光度はどれぐらいになるか。
- 最小2乗法を用いて検量線を評価してみよう。