2020.5
吉村洋介
7. 弱酸・弱塩基の解離平衡とpH

7-3 緩衝液の調製とその性質

弱塩基(トリス)を取り扱うグループは文中の語句を{}で囲ったものに読み替える。

<操作>

  1. 7-2-2で決めた酢酸の酸解離定数の値を用い、酢酸溶液と酢酸カリウム溶液とを混合した時、 その溶液のpHがそれぞれ4.0、4.5、5.0および5.5になるように両者の混合比を求める。{7-1-2で決めたトリスの共役酸の酸解離定数の値を用い、 一定量の0.1 mol/Lトリス溶液と0.2 mol/L塩酸と水を混合して、トリス全濃度が0.05 mol/Lになるようにした時、 その溶液のpHがそれぞれ7.0、7.5、8.0および8.5になるように三者の混合比を求める。}
  2. 実際に混合して0.1 mol/L酢酸緩衝液{0.05 mol/Lトリス緩衝液}100 mLを作り、 その結果、所定のpHが得られたかどうかを確かめる。 作製した緩衝溶液の一部は、8-2 (3)で使用するため、保存しておく。
  3. pHが4.5になるよう調製した酢酸緩衝液{pHが8.0になるよう調製したトリス緩衝液}の一部を取り、 2 倍、5倍、20倍に希釈したものについてそれぞれpHを測定する。
  4. pHが4.5になるよう調製した酢酸緩衝液{pHが8.0になるよう調製したトリス緩衝液}を40 mLとり、 0.2 moL/L 水酸化ナトリウム溶液を1 mLずつ合計3 mLまで順次加えてpH変化を調べる。 次に別のビーカーに酢酸緩衝液{トリス緩衝液}を40 mLとり、 0.2 moL/L 塩酸溶液を1 mLずつ合計3 mLまで順次加えてpH変化を調べる。

<検討>

  1. 酢酸緩衝液{トリス緩衝液}の希釈によるpH変化をグラフにプロットし、実験7-1-2の検討(1)で得た結果と比較せよ。
  2. 緩衝液1.00 LのpHを1.00単位変化させるのに要する強酸または強塩基のモル数を緩衝容量(buffer capacity)という。 水酸化ナトリウム溶液、及び塩酸溶液を加えたことによるpHの変化をグラフに描き、 作製したpH4.5の酢酸緩衝液{pH8.0のトリス緩衝液}の緩衝容量を計算し、Henderson-Hasselbalchの式に基づく計算値と比較せよ。

<廃棄物処理>

余った強酸強塩基試薬は実験終了後に指針Aに従って処理する。緩衝溶液は十分量の水とともに流しに捨てる。


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