10 年以上前のことになりますが、 花田先生のピンチヒッターで、工学部の物理工学の学生さん向けの、 教養の「基礎物理化学」の講義を受け持つことになりました。 他の化学関係の講義はほとんど履修しない学生さんということで、 原子や分子の話は抑えて、流体の化学熱力学中心のちょっと大胆な構成にしてみました。 昔のノートやファイルを見ていて懐かしく、 また今も考えさせられるところがあるので、当時の講義プリントを改訂しながらボチボチと、文章化してみることにしました。 何かの参考になれば幸いです。
ここでは、化学熱力学を中心にはなしをしようとするわけですが、 熱力学の体系の基礎的なところ、 たとえば「熱とは何か」「温度とは何か」「エントロピーとは何か」 といったお話は、できるだけ控えたいと思います。 むしろ蒸気機関やエンジンに関わって生まれた熱力学が化学現象に適用できること、 そしてそこから見えてくる化学の風景に着目してお話したいと思います。