since 2012.12.3
吉村洋介

基礎物理化学 化学熱力学とその周辺

10 年以上前のことになりますが、 花田先生のピンチヒッターで、工学部の物理工学の学生さん向けの、 教養の「基礎物理化学」の講義を受け持つことになりました。 他の化学関係の講義はほとんど履修しない学生さんということで、 原子や分子の話は抑えて、流体の化学熱力学中心のちょっと大胆な構成にしてみました。 昔のノートやファイルを見ていて懐かしく、 また今も考えさせられるところがあるので、当時の講義プリントを改訂しながらボチボチと、文章化してみることにしました。 何かの参考になれば幸いです。

ここでは、化学熱力学を中心にはなしをしようとするわけですが、 熱力学の体系の基礎的なところ、 たとえば「熱とは何か」「温度とは何か」「エントロピーとは何か」 といったお話は、できるだけ控えたいと思います。 むしろ蒸気機関やエンジンに関わって生まれた熱力学が化学現象に適用できること、 そしてそこから見えてくる化学の風景に着目してお話したいと思います。


目次

  1. 物理量と単位の話
  2. 気体と液体の話: 状態方程式・多変数関数
  3. 化学種の話: 物質保存の法則・化学量論
  4. 相図・相律の話: 物質の状態を決めるもの・化学ポテンシャル
  5. エネルギーの話: エネルギー・示強変数と示量変数
  6. 化学結合・分子間力の話: 物理的力と化学的力
  7. まさつの話・粘性の話: 不可逆過程
  8. 分子運動論の話: マクスウェルの速度分布則
  9. 熱と仕事の話: 熱力学第1法則・外界とのエネルギーのやり取り
  10. エントロピーの話: 熱力学第2法則・熱力学的平衡
  11. 平衡定数の話
  12. 溶液と相平衡の話
  13. 蒸留の話
  14. 溶液の束一性の話
  15. 化学平衡の話
  16. 拡散の話
  17. 熱伝導の話
  18. 電解質溶液の話
  19. 化学反応速度の話

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