水と空気は、常に身近にあるもので、少し精度の高い実験では、 その密度の値を考えないわけにはいきません。 通常利用する条件での水と空気の密度をまとめておきます。
ここでは室温付近の水の密度の精密な値を(~10-6)紹介します (2000 年時点での実験値を総括的に評価して得られた推奨値)。 100万分の 1 のオーダーまでの密度を定めようとすると、 同位体組成なども関わってきますが、ここでの「水」は、 平均的な海洋の水の同位体組成にあわせた水(SMOW = Standard Mean Ocean Water)です (詳細は別のページを参照ください)。
t / °C | ρ / kg m-3 | t / °C | ρ / kg m-3 | t / °C | ρ / kg m-3 | t / °C | ρ / kg m-3 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | 999.843 | 10 | 999.703 | 20 | 998.207 | 30 | 995.649 |
1 | 999.902 | 11 | 999.608 | 21 | 997.995 | 31 | 995.342 |
2 | 999.943 | 12 | 999.501 | 22 | 997.773 | 32 | 995.028 |
3 | 999.967 | 13 | 999.380 | 23 | 997.541 | 33 | 994.704 |
4 | 999.975 | 14 | 999.247 | 24 | 997.299 | 34 | 994.372 |
5 | 999.967 | 15 | 999.103 | 25 | 997.047 | 35 | 994.033 |
6 | 999.943 | 16 | 998.946 | 26 | 996.786 | 36 | 993.685 |
7 | 999.905 | 17 | 998.778 | 27 | 996.515 | 37 | 993.329 |
8 | 999.851 | 18 | 998.598 | 28 | 996.235 | 38 | 992.965 |
9 | 999.784 | 19 | 998.408 | 29 | 995.947 | 39 | 992.594 |
40 | 992.215 |
前節では室温付近の水の密度の高精度のデータを取り上げましたが、 より高い温度での密度も必要となることがあるので 150 °C までの表を示します (飽和条件での密度になっていて、150 °C では圧力は 0.48 MPa になります。 Wagner らの与えている経験式による計算値です)。
t / °C | ρ / kg m-3 | t / °C | ρ / kg m-3 |
---|---|---|---|
0 | 999.8 | 80 | 971.8 |
10 | 999.7 | 90 | 965.3 |
20 | 998.2 | 100 | 958.3 |
30 | 995.6 | 110 | 950.9 |
40 | 992.2 | 120 | 943.1 |
50 | 988.0 | 130 | 934.8 |
60 | 983.2 | 140 | 926.1 |
70 | 977.7 | 150 | 917.0 |
新鮮な空気中の水以外の成分は、およそ窒素が 78 %、酸素が 21 %、アルゴンが 1 % を占めていて(モル分率(体積分率))、 1 気圧、室温付近での乾燥した空気の密度はほぼ 1.20 kg m-3 になります。 室内の空気については、他の成分として、特に二酸化炭素濃度が重要になりますが、 濃度はせいぜい 0.1 % 程度なので密度への影響は無視できます。 温度 \(t\) 圧力 \(P\) の影響が重要な場合は、乾燥した空気の密度 \(\rho\) の評価に下式がよく用いられています。 ここで 1 Torr = 1 mmHg = 133.322 Pa です。
\begin{equation} \rho / (\mrm{kg~m^{-3}}) = \frac{1.293}{1 + 0.00367 (t/ \mrm{{}^{\circ}C})} \frac{P/ \mrm{Torr}}{760} \label{eq:aird} \end{equation}
湿度が高くなると、空気の密度は小さくなります。 水蒸気の分圧が \(P_\mrm{w}\) の時、 湿った空気の密度 \(\rho_\mrm{w}\) は、同温同圧の乾燥した空気の密度 \(\rho\) から、 次式で評価できます。
\begin{equation} \rho_\mrm{w} = \left(1 - 0.378 \frac{P_\mrm{w}}{P} \right) \rho \label{eq:wetaird} \end{equation}
室温付近で飽和水蒸気圧はせいぜい 0.03 気圧というところですから、 湿度 100 % で密度が 1 % 小さくなる程度ということになります。