ここで紹介した話題以外にも、CHEMUSB 4は当化学教室の3回生向けの実験では、 カラムクロマトグラフィーによる植物色素(クロロフィルなど)の分離、ブラッドフォード法によるタンパク質定量、 フェノールフタレインの退色反応の追跡、ビタミンB2の定性分析などでも活躍してくれています。
場所を取らないので作業している机ですぐに測定でき、またスペクトルを取るのに時間がほとんどかかりません。 また光吸収に止まらず、定性的ではありますが蛍光の実験にも使用可能です。
実験を管理運営する立場からは、普段は15台を幅90 cmぐらいの軽量棚1段にしまっておけ、 これまでの重くてかさばる分光光度計とは大違い(倉庫で耐荷重200 kgの幅180 cmの棚を3段ほど占拠しています)。 配置するのも、CHEMUSB 4とPC(ASUSのネットブックEee PCを採用しています)を机に配って歩くのに1人で10分もかかりません。 専用の机を用意し、5~6人がかりでえっちらおっちら配置して回っていたのが嘘のよう。 光学セルの固定などや、制御・測定ソフトに不満は残りますが、 学生実験に大きな可能性を開いてくれたこと、 何より学生諸君と光に関わる測定・物性との“距離”を縮めてくれたことに、 CHEMUSB 4には率直に感謝しています。
すでに4年近く経ったわけですが、 そうした可能性を十分に活かせているどうかにはまだ疑問な部分はあります。 しかし学生としてあるいはティーチングアシスタントとしてCHEMUSB 4と触れた諸君が、 意欲的に光学的な測定に挑戦しているのを見聞きすると、 着実にその成果は上がっていると実感します。 現状の問題の多くは、従来からのやり方に泥んだ、われわれ指導する側、 実験を設計する側にあるようです。 これからの世代が、こうした機器を当たり前のように使いこなし、 われわれの見ることの叶わなかったものを見せてくれることを願っています。
最後になりましたが、CHEMUSB 4を導入するに当たっては、 当時の杉山教科委員長始め多くの皆さんの支援を得、 また(株)オプトシリウスの担当の方には大変お世話になりました。 記して謝意を表します。