試料が固体である場合、通常、適当な溶媒に試料を溶解させた後、分析を行う。 ここでは洋白を硝酸に溶解してその構成元素の分析を行う。 硝酸に試料を溶かし、硫酸を加えて窒素酸化物を追い出し、 金属塩類を硫酸塩に変えて以降の分析に使用する溶液を調製する。
(注1)この操作で亜硝酸等酸化窒素類を分解揮発させる。溶液を完全に乾固させると再溶解させるのに時間がかかる。 析出した固体(硫酸ニッケルの無水塩と思われる)が溶解しない場合は溶液を煮沸しない程度にしばらく加熱するか、一晩放置するかしてみよ。
余った試薬類で以下の操作に用いないものは廃棄物指針Aに従って処理する。
試料の洋白 | 試料の洋白の入っていた箱 |
現在使用している洋白の試料は、日本伸銅協会から提供されている分析試料になります。 厚さ0.3 mm の薄板で提供されているものを、 だいたい 0.25 g になるように短冊状に切って提供しています。
付属の分析表によると、Fe 0.01 %、Co 0.04 %、Pb 0.003 %ぐらいで、Fe、Co、Pb の影響はほぼ無視できます (Fe が多いと、イオン交換樹脂分離法で亜鉛に混入してくる可能性がある)。 一方 Mn は 0.3 %程度ということになっていて、今回の手法で分析し、銅・ニッケル・亜鉛を合計して 100 % を下回るなら、 このマンガンの影響が考えられます。 もっとも分析値の不確かさ(特にニッケル)が大きく、 学生諸君の出したデータからその影響をうかがい知ることは困難です。
試料の溶解については、以前の合金の分析ノート に書いた通りです。 ただ若干変わっているのは、以前(2013年以前)は硝酸に溶解してから、硫酸を加えるように指示していたのを、 最初から硝酸と硫酸を混合しておいて、溶解させるようにしたところでしょうか。 後から硫酸を追加すると、他の人のビーカーを倒したり、トラブルの元なので、 最初から混合するようにしたのです(扱っているのが鉛のほとんど含まれていない試料なので、不溶性の硫酸塩が生じない)。
ドラフトの中にホットプレートが置いてあります。 | 結構、混雑します。 手前のビーカーは加熱濃縮がちょっと進み過ぎか? | ビーカーと時計皿の間に挟むスペーサー。 たぶんあった方がいい。 | 加熱濃縮をやりすぎると、試料溶液がこんな感じになる。 |