サイコロを振って2の目が出る確率は、1や5の出る確率と同じということで理解しやすいのですが、 こうしたイベント(事象)とちがって、 図形の場合には配置の重み(測度)の評価はなかなか厄介です。 実際、“形”を持った分子からなる流体の構造を考える上で、 分子配置の実現する確率、統計的な重みの問題は、しばしば厄介な問題を引き起こします。 こうした問題は積分幾何学あるいは幾何的確率論と呼ばれる学問分野で研究されてきたものなのですが、 あまり液体・流体の化学の分野では知られていないようです。
ここでご紹介するのは、以前研究室のセミナーで、液体の化学を専門としない学生さん相手に、 積分幾何学について話した内容をまとめたものです。 ぼくはこうした分野について不案内で足元がおぼつきませんが、 少しでも興味を持つ化学者が現れてくれることを期待します。