ファンデルワールス状態方程式は、大学初年級の物理化学の教科書には必ず登場しますし、 学部レベル程度で適切な難しさがあって、 さまざまな演習問題などでも取り上げられ、 多くの学生にとってなじみがあるものでしょう。 しかしファンデルワールス状態方程式の特性が忘れられ、 しばしば問題のための問題になってしまっているように思えてなりません。
ここでは(ぼくの理解する範囲で)ファンデルワールス状態方程式の構成、 そしてファンデルワールス状態方程式に従う流体(以下ファンデルワールス流体と呼びます)の熱力学的な特性について、 一通り物理化学を学んだ学生さん向けに紹介しようと思います。 その中で、ふだん見慣れた流体の性質の背景にあるもの、 また熱力学の構成・体系といったものに思いをいたしていただければ幸いです。